半年後に迫るバレー新リーグ 外国人枠増で選手たちはどう捉えている?
一方で、樋口のチームメイトで同じアウトサイドヒッターの迫田郭志は、「僕は攻撃の部分では勝てないと思うので、チームで一番の守備のアウトサイドになっていければいいのかな」と冷静だった。(※迫田もシーズン終了後にチームを退団) 昨シーズン(2022・2023年シーズン)後にサントリーを退団し、プロ選手としてジェイテクトSTINGS(SVリーグでは「ジェイテクトSTINGS愛知」)に移籍し、アウトサイドヒッターとして活躍した秦耕介はポジティブに捉えていた。 「世界のトップで活躍している選手たちと一緒に練習できるので、日々どれだけ成長できるのかまず興味があります。ただ、試合出場の機会が減ったら、それはそれで嫌とは思っている。まだ始まってないのでなんとも言えないが、日本人選手の選択肢は国内だけでなく、どんどん広がっていくと思っている。それについては楽しみなのと、これからどうなんだろうという思いと半々。後者のマインドでいたら成長はないので、挑戦というところはしっかりしていきたい」
ポジションによって異なる見方
アウトサイドヒッターではないポジションの選手たちは、少し異なる見方をしていた。 サントリーを優勝に導いたセッターで日本代表の大宅真樹は、楽しみだという。 「すごく楽しみな部分が僕は大きい。チーム内の競争が激しくなる中で、普段の練習からスタートじゃない選手が相手でも、かなり負荷の高いバレーボールで日々を過ごせると思う。確かに日本人選手の出場機会は、もしかしたら減ってくるリーグになっていくかもしれない。しかし、そこをチームとして戦えるチームがより上位に入ってくると思っている。スター選手が来たからといって、日本にフィットするかもわからないし、そのチームに合うのかもわからない。やってみなきゃわからないのが正直なところ。まさにSNSで言われているような選手が本当に来るのであれば、日本のリーグはすごく注目されてると思うので、リーグがもっともっと盛り上がってくれば、男子バレーボール界も本当に世界最高峰を目指せるのではないか」 同じく日本代表、サントリーでミドルブロッカーとして活躍する小野寺太志も期待を口にした。 「噂なので、誰が来るのか正直僕もわかっていない。僕が見る名前は(ミドルブロッカーと)ポジションが違う選手が多いので、もちろん同じポジションにあたる選手は、ライバルがチーム内に増えることで(出場機会)厳しくなると思うが、僕自身はミドルブロッカー的な観点でいうと、常に対戦相手に世界トップクラスの選手がいることは良いことだと思う。日本代表で経験させてもらってることが日本のリーグに帰ってきた時に、日本人選手のレベルも高くなっていることも事実ですし、(Vリーグが)どんどん難しくなっているのも事実なんですけど、やはり高さが違う、パワーが違うというのもある。それを代表(の活動)期間が終わってから、リーグでも毎週肌で感じて味わえるのは、これからも日本代表でプレーしたいと思っている僕にはとってはすごく良い機会。そこで何か掴めるものがあるかもしれない。対戦相手に各国の代表選手がいて、そこで特徴を知っていたら、またプレーが有利に働くかもしれない。代表で戦ってかつミドルで戦っている選手からの見方であって、他の選手とは見方は違うかもしれないが、でも楽しみなのは事実で、その選手たちからポジションを奪う活躍を見せてくれたら、それこそ日本のレベル、国内リーグのレベルが上がると思う。名前負けしてほしくない」 (※大宅、小野寺ともに、2月18日の日本製鉄堺ブレイザーズ対サントリーサンバーズの試合後会見にて) セッターに外国人枠を使うチームが出てくるか、現時点ではわからない。ただ、筆者が学生時代に鮮烈に覚えているのが、1996年から3シーズンに渡って、東レアローズでプレーした203cmのアメリカ代表セッター、ロイ・ボール。日本人セッターにはなかなかない高さからトスを上げていて、当時衝撃を受けた。ちなみに、東レアローズでかつてミドルブロッカーとして活躍した小林敦GMは以前、「僕がスパイク賞を取れたのは彼のおかげですよ」と話していた。 V2リーグ(2部)であれば、つくばユナイテッドSun GAIAがセッターに中国代表で196cmの于垚辰を起用していた(昨シーズンと今シーズンでプレー)。 2023年度の日本代表のセッターで、VC長野トライデンツの下川諒(※シーズン終了後にチームを退団)は、大物外国人セッターのSVリーグ参戦を期待していた。 「僕はセッターでどこかに来て欲しい。僕自身、海外でプレーしたいというのは高校の頃からあったので、海外のセッターを見ている中で自分が見て学べるかという思いがある。あと、言われているようなアウトサイドヒッターやオポジットの選手たちと試合をする中で、多く学ぶことができると思うのですごく楽しみ。勝てなくなるという心配は少しあるが楽しみ」(3月9日のジェイテクト戦後の会見にて) 下川は、好きなセッターとしてアルゼンチン代表のルチアーノ・デ・セッコ、元イラン代表のサイード・マルーフの名前を挙げていた。2人とも世界トップクラスのセッターとして長年活躍し続ける名手だ。