試合前ロッカーに流れたちびまる子ちゃんのテーマ曲。清水が追悼逆転勝利!
ホームのマリノスの許可を得たうえで、エスパルスの選手たちは哀悼の意を込めてユニフォームの右袖に喪章を着用。スウェーデン出身のヤン・ヨンソン監督をはじめとするスタッフの右袖にも同様に黒い喪章が巻かれたが、開始わずか2分でセットプレーから失点してしまう。 直近の5試合で1分け4敗と白星から遠ざかり、J1残留争いに巻き込まれつつあった嫌なムードが吹き飛ばされたのは前半27分。チームトップとなる9ゴール目を叩き込んで同点としたのは金子であり、左サイドを崩してチャンスをお膳立てしたのは静岡県出身の若手トリオだった。 敵陣で得たスローイン。左サイドバックの松原后(22)が北川と短いパスを交換し、再び北川へパスを預けた直後に縦へダッシュ。ボールはMF石毛秀樹(23)を介して松原の足元へ届き、マイナス方向へ折り返されたグラウンダーのクロスを、右サイドから走り込んできた金子が左足で押し込んだ。 逆転弾が生まれたのは後半4分。左コーナーキックで石毛がショートコーナーを選択するも金子が落としたボールが短く、マリノスの選手に奪われそうになる。何とか先にボールに触った石毛だったが、パスは大きくずれてしまい、金子が必死に戻りながら強引に体を反転させて右足を振り抜いた。 「ちょっとイレギュラーの形というか、準備していたものと違うんですけど。とにかくファーサイドを目がけて蹴ったら、アシストがついたので本当によかったです」 マリノスにとっては、虚を突かれた形となったのか。マークが甘くなったFWドウグラス(30)が空中で鮮やかに胸トラップし、着地と同時に左足を振り抜く離れ業のボレー弾を突き刺す。この1点を守り抜いたエスパルスが、8月1日以来となる勝利を天国へ捧げた。 金子とともに2つのゴールに絡んだ石毛はさくらさんの母校、清水西高校の後輩という縁で結ばれていた。他の選手たちと同じく直接会ったことはないが、在学中から何度も名前を聞かされてきた。 「自分が大好きな清水という町を、漫画を通して世界的に広めてくれていましたし、清水の人間としてすごく誇れる人でした。エスパルスのことも応援してくれていたし、そういう方が亡くなってしまったことはすごく悲しいですけど、今日はしっかり勝つことができたのでよかったと思います」