日経平均が一時1900円安、石破新政権誕生による金融所得課税など警戒
(ブルームバーグ): 30日の日本株は大幅安。日経平均株価の下げ幅は一時1900円を超えた。自民党が石破茂元幹事長を新総裁に選出し、新政権が緊縮財政や金融所得課税の強化を推し進めると警戒した売りが広がった。
外国為替市場で円相場がドルに対して急伸し、業績へ影響が出やすい自動車など輸出関連株中心に売られている。一方で金利が上昇し、銀行株は逆行高になっている。
銀行株が反発、利上げに慎重な高市氏でなく「石破総理」誕生で
東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは高市早苗経済安全保障担当相の選出が織り込まれていたことなどから、「すごいサプライズ」と述べた。石破氏は総裁選前に緊縮財政や金融引き締めなどタカ派的なスタンスを示すことが多かったため、円高が進行し、株先物が大きく下落したと話す。
一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大西耕平上席投資戦略研究員は、石破氏の選出はネガティブには見ておらず、「きょうの下げは一時的な動きだ」との見解を示した。
決選投票の結果判明に先立ち、利上げに否定的な高市氏が勝利するとの観測が広がる中で、日経平均株価は2.3%高で27日の取引を終えていた。
市場関係者によると、新政権の政策がより明確になるまでは、株式相場は短期的に大きな変動に見舞われそうだ。
岡三証券の大下莉奈シニアストラテジストは「週初めはボラタイルな動きとなりそうだ。石破氏は財政健全化などを主張していることから、日本株にとっては円高進行が向かい風となる場面もありそうだ」と分析していた。
一方、金利上昇に伴う増益期待から銀行には追い風となる公算が大きい。日本の軍事力強化を目指す石破氏の方針は、防衛セクターへの恩恵が期待されると一部の市場関係者は指摘する。
石破氏は日銀の独立性と金融正常化の軌道を原則として支持する立場だが、デフレ脱却の必要性も同時に訴えてきた。
29日に出演したフジテレビの番組「日曜報道THE PRIME」では、今の金融緩和の方向性は維持していかなければならないと主張。当局が判断することと前置きしながらも、「デフレが脱却できたと断言できない状況の中で、金利をうんぬんかんぬんと言ってはいけないと思う」と述べ、早期の追加利上げに慎重とも受け取れる発言を行った。