カメムシ大量発生は大雪の前兆!? “雪国あるある”言い伝えの真相をデータと専門家の見解からひも解く【福井発】
寒くなってくると、窓のサッシにカメムシがいてギョッとしたという経験をした人も少なくないだろう。雪国では「カメムシが大量発生すると大雪」という言い伝えがよく知られているが、実際はどうなのか、データや専門家の見解をもとに調査した。 【画像】年ごとのクサギカメムシ発生数と積雪量をまとめたグラフ
カメムシ多く発生した今年の降雪量は
まずは今シーズンのカメムシの発生状況と冬の天候予想を比較する。 2024年のカメムシの状況について、福井県内では2024年8月、県農業試験場が「果樹カメムシ類の多発による農作物被害」の注意報を発令した。果樹カメムシとは「チャバネアオカメムシ」と「クサギカメムシ」のことで、県農業試験場の観測では、2024年はどちらのカメムシも前年や平年(2011~2020までの10年間の平均)よりも多かった。 そして、今シーズンの冬の天候予想は、先日、気象庁から発表された長期予報によると、今シーズンは冬型の気圧配置が強まる傾向で寒気の影響を受けやすく、降雪量は平年並みか多い予想となっている。今シーズンに限れば、カメムシの発生は平年よりも多く、降雪量も平年並みか多い予想ということで相関関係がありそうだ。
過去のデータには相関関係見られず
次に、2000年からのクサギカメムシ発生数と冬の福井市の積雪量の比較していく(積雪はその年の12月~翌年2月までの最深積雪)。 2017年~2018年の冬は、積雪が140cmを超える大雪だったが、カメムシ発生量はゼロ。2010~2011年の冬も、積雪は100cmを超えたが、カメムシの量は多くなかった。2014年はカメムシの発生数が極端に多かったものの、積雪は50cm程度だった。 こうして過去のデータをひも解いてみると、相関関係があるとは言いづらい。そこで、カメムシの生態に詳しい専門家に話を聞いた。
大量発生と大雪の相関関係はない
カメムシ発生数と積雪の相関関係について、弘前大学農学生命科学部・管原亮平助教は、「カメムシがあらかじめ気象条件を知り、それにより自分の繁殖に影響するということは考えにくいため『カメムシの大量発生と大雪の関係はみられない』と言える。カメムシは成虫で越冬するため、雪国では家の隙間からどんどんカメムシが入ってきて“冬といえばカメムシ”というイメージがあったのではないか」と話す。 また、カメムシが大量発生するのはどういう場合なのか。管原助教によると「カメムシは森の中で卵からふ化して成虫になるので、森の中で餌が多いとカメムシの量は増える。成虫で越冬するので、暖冬であれば越冬できる個体数が増えるので、カメムシにとっては暖冬が良い環境ではないか」という。 菅原助教の話では、近年の暖冬の影響はカメムシが多くなる1つの要因かもしれないが、大量発生と大雪の相関関係はないということだ。 雪国では、生活に大きく影響する積雪量を“早めに予測して備えたい”という思いから、カメムシの言い伝えが生まれたのかもしれない。相関関係はないにせよ、カメムシが大量発生した今シーズン、降雪も多い予想となっている。備えあれば憂いなし。早めに準備しておいて損はなさそうだ。 (福井テレビ)
福井テレビ