【レポート】豊かな木々の恵みから生まれた、岡山の「森の芸術祭」へ。
『森の芸術祭 晴れの国・岡山』は岡山県北部で開かれている芸術祭。国内外のアーティストが豊かな森をイメージした作品を見せています。歴史的な街並みから鍾乳洞まで、岡山の魅力を満喫できる国際芸術祭です。 【フォトギャラリーを見る】 岡山県北部で展開されている国際芸術祭『森の芸術祭 晴れの国・岡山』。〈金沢21世紀美術館〉館長の長谷川祐子をアートディレクターに迎え、国内外から42組の作家が参加している。作品は岡山県北部の津山市・新見市・真庭市・鏡野町・奈義町の5つのエリアで展示されている。
津山の〈グリーンヒルズ津山〉の芝生にはブラジル出身のエルネスト・ネトがネットによる作品を設置した。竹の支柱にかぎ針編みでつくった網をかけた構造物だ。網はターメリックで染めた綿やペットボトルをリサイクルした素材でできている。
「私の体からあなたの体へ、そして地球へ、僕たちと自然をもう一度つなげたい。僕たちも自然の一部だから。この作品では内側を見てほしい。みんな外側は見るけれど、人間の体の内側で起きていることのほうが重要なんだ」(ネト)
奈義町の屋内ゲートボール場〈すぱーく奈義〉に、上にも下にも森がある不思議な空間が出現している。作者は〈金沢21世紀美術館〉の恒久設置作品《スイミング・プール》でも知られるレアンドロ・エルリッヒだ。“森”には橋が渡されていて、頭上と足元に森を見ながら渡っていくことができる。
「この場所の豊かな自然が生み出す景観はほんとうに素晴らしい。でもその自然から人が切り離されているようにも感じる。橋はそれらをつなぐ強いシンボルだ。また橋によって、遠くに行くことができる」(レアンドロ・エルリッヒ)
〈すぱーく奈義〉の向かい側にある〈奈義町現代美術館〉は故・磯崎新の設計によるもの。ここでは生前の磯崎とも親交のあった高谷史郎が故・坂本龍一とコラボレーションした舞台作品『TIME』にもとづくビデオ&サウンドインスタレーション《TIME-déluge》を展示している。氾濫する水をスローモーションで捉えた映像だ。