世界トップ水準の研究体制、阪大が立ち上げた「3D造形」新組織の中身
大阪大学は3次元プリンティング(3DP)技術の研究開発で国際的なオープンイノベーションを展開するための組織を立ち上げた。工学研究科が中心となり、学内のシーズの結集と部局を超えた連携を図るとともに国際共同研究、国際交流を進める。3DP研究開発のためのハブ機能と国際ネットワーク機能を備えた拠点に発展させ、「大阪大学=3DP」と認められるブランド化を推進する。 30秒でわかる3Dプリンター 新組織は「阪大3DPTec(3DPテクノロジー)統合センター(仮称)」で、吹田キャンパス(大阪府吹田市)に設立。金属積層造形(AM)の研究開発拠点である異方性カスタム設計・AM研究開発センター(阪大金属AMセンター)が入る建屋の増築が2025年度に完成し次第、活動を本格化する。AMセンターなどと兼任した50人程度でスタートし、センター長にはAMセンター長も務める中野貴由工学研究科教授が就く予定。工学研究科全体の専攻、産業科学研究所、接合科学研究所、医学部付属病院などのほか、文系部局との文理融合、国際共同研究や国際交流を進める。 9月上旬には、欧州の3DP拠点であるミュンヘン工科大学、デンマーク工科大学の3DP関連センターと24年度内に国際研究協定(MOU)を締結することで合意した。27年度までに3DP技術で世界トップレベル研究拠点になるための体制を構築する。 阪大は3DPの研究に力を入れており、これまで骨3Dデバイスや培養肉などを一部実用化。24年度中に医療、未来食、航空・宇宙、機能性触媒、オンサイトファブリケーションの5分野でプロジェクトを立ち上げ、25年度にアートを組み合わせた文理融合のプロジェクトも始める予定。