結党60年、岐路に立つ公明 前途多難の斉藤体制【解説委員室から】
◇連立1期と2期の違い 自公両党の連立に関し、野党転落までを「1期」、与党復帰から現在までを「2期」に分けると、自民党との関係で微妙に変化していることが分かる。 というのは、1期では、政策などでの学会側の意向は、公明党を通じて、自民党や首相官邸に伝えられ、それに対する政権としての判断も、公明党を介して、学会側に戻されていた。もちろん、懇親も兼ねて、自民幹部と学会幹部が接触することはあった。その場合でも、事前や事後に公明幹部に報告するなど配慮していた。 例えば、小泉純一郎政権下、当時の青木幹雄参院議員会長が創価学会の秋谷栄之助会長と会食した際には、事前に、旧知の公明参院幹部に知らせた。メンツをつぶさないためだ。 しかし、2期では、政権幹部と学会幹部が、公明党の頭越しに、懸案について協議することがあった。第2次安倍晋三政権で、学会との窓口になったのは当時の菅義偉官房長官。菅氏はしばしば、旧知の学会幹部と連絡を取り合い、学会側の考えを把握。政権内の調整を進めた。代表例が、消費税率の10%への引き上げに際しての、軽減税率の導入だ。 菅氏としては、短時間での調整が必要な懸案を処理する場合、学会側の意向を時間をかけず把握する点で効率的だ。ただ、公明議員からは、官邸と学会の「直取引」に不満が漏れた。 第2次安倍、菅政権を経て、公明・学会とのパイプが細い岸田文雄政権になると、政府サイドで学会からの窓口役を担ったのは、首相最側近の木原誠二官房副長官。公明の石井啓一前代表が衆院埼玉14区から出馬することが決まり、現地で決起大会を開いた際には、木原氏が駆け付け、首相の応援ビデオが披露された。 自民党の衆院選惨敗を受け、引責辞任した小泉進次郎選対委員長の後任に、木原氏が就任したが、来年夏の参院選での選挙協力をにらんだ、公明重視の人事でもある。 ◇参院選へ三つの不安材料 参院で公明党の議席は27(比例13、選挙区14)。このうち、改選は14(比例7、選挙区7)。また、都議会での議席は23で、目黒区を除く22選挙区で公認候補を決めている。参院選では、議席の維持。都議選では、候補者の全員当選が至上命令だ。しかし、両選挙とも、情勢は極めて厳しいのが実情だ。