「娘が中毒」「学びのツール」 学習効果VS視力低下 子供のSNS、規制に賛否
■課題は年齢確認
SNS規制を巡っては、ノルウェーでも15歳未満の利用の禁止が検討されるなど、各国で議論が進められている。
規制には、どのようにして年齢確認を行うのかといった技術的な課題もある。管理者が全ての利用者に身分証の提示や生体認証を求めるなどの方法が想定される。
ITジャーナリストの三上洋氏は「全ユーザーが管理者に身分証を提示しなければいけなくなるとすると、誰が管理し、責任を負うのかなど慎重に話し合う必要がある」と語った。
■犯罪巻き込みも
交流サイト(SNS)を通じ、子供たちが犯罪に巻き込まれるケースは多い。とりわけ、SNSで短時間・高収入などをうたって強盗や特殊詐欺の実行役に利用する「闇バイト」で未成年の摘発は後を絶たない。
警察庁によると、今年10月に闇バイトに加担しないよう注意を促す動画を発表して以降、11月末時点で全国で125件の保護措置が行われた。10代が3割を占めるという。
子供がSNSを通じて知らない人とやりとりするケースも目立つ。東京都が保護者に調査したところ、小中高校生の2割に上った。そのうち約20%は顔や体の写真や動画を送受信し、約14%が直接会っていた。
匿名性に隠れた誹謗(ひぼう)中傷も多い。11月には、平成31年の東京・池袋の乗用車暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さん(38)を名指しし、殺害予告のメールを送ったとして横浜市の中学3年の少女(14)が脅迫などの疑いで書類送検された。
■国内でも規制議論
交流サイト(SNS)の有害コンテンツなどから子供を守るため、国内でも規制に関する議論が始まっている。
政府は今年11月に、こども家庭庁などが中心となって有識者らでつくる「インターネットの利用を巡る青少年の保護の在り方に関するワーキンググループ(WG)」を立ち上げた。
9月には、子供たちが悪質サイトに接続できなくする「フィルタリング」機能の利用率向上などを示した基本計画を策定。政府は各国の状況を踏まえながら、より効果的な施策を検討する。
フィルタリングの利用率は令和元年度以降、4割前後で推移。子供たちの安全確保は、青少年インターネット環境整備法で定められているが、SNSの利用を規制する規定はなく、今後どこまで踏み込んだ議論ができるか注視される。(塚脇亮太、大渡美咲)