タコ釣りの疑似餌、海底から1万個 釣り人らの廃棄物、兵庫・明石沖で回収「海洋ごみになり、漁師がけがも」
兵庫県の明石市漁業組合連合会(市漁連)が、明石沖の海底に放置された釣り具の疑似餌の回収作業に取り組んでいる。4年前から毎年1万個程度を回収しており、今年も1万369個を引き揚げた。市漁連は釣り人らに「海洋ごみになり、漁師らがけがをする危険もあることを忘れないで」と呼びかける。(赤松沙和) 【写真】海底から回収された疑似餌 市漁連が回収しているのは、タコ釣りなどに使われるエビやザリガニなどの形をした10センチほどの疑似餌。ほとんどがプラスチック製で、海底のタコを釣るため、鉛の重りや鋭い針が付いている。釣り上げる時に釣り針が海底や障害物に引っかかり、糸が切れてそのまま海に残されたものとみられる。 タコつぼ漁では、漁船のローラーを使って一気に引き揚げるが、ロープなどに絡まった疑似餌が高速で飛んできて、漁師がけがをすることもあった。 そこで、市漁連では2020年から、市内5漁協の漁師から網やロープに掛かった疑似餌を1個50円で買い取り、年に1万個を目標に回収。5年間で計5万7907個に上った。 市漁連は、釣り人に注意を促す一方で、釣り具メーカーにも改善を訴えてきた。根掛かりしにくい疑似餌の開発を依頼したところ、獲物が外れにくいように針の先端に逆向きに付ける「返し」をなくした製品が増えてきたという。 今後、環境負荷を低減した製品についても要望していくといい、市漁連の橋本幹也会長は「放置された疑似餌は、何より漁をしていて危ない。海中で分解されるような、魚や環境にも優しいものができれば。回収の取り組みも続けていく」と話している。