斎藤知事の選挙収支報告書、PR会社への支出なし 後援会経由で支払い
兵庫県知事選で再選した斎藤元彦知事が県選挙管理委員会に提出した選挙運動費用収支報告書が3日、公開された。選挙運動で西宮市のPR会社社長が交流サイト(SNS)の運用を含めて「広報全般を任された」とブログ投稿し、公選法違反の疑いが指摘されているが、報告書に同社に対する支出の記載はなかった。斎藤知事の代理人弁護士によると、後援会を通じてチラシのデザイン制作費などを同社に支払ったという。 【写真】斎藤元彦知事の弁護士が示したPR会社への振込明細票のコピー 斎藤知事や代理人の奥見司弁護士はこれまで、メインビジュアル企画・制作や公約スライド制作をはじめ、ポスター、チラシ、選挙公報など5項目のデザイン制作をPR会社に依頼し、11月4日に計71万5千円を後援会から支払ったと説明していた。 これに対し収支報告書は、5項目のうち「公約スライド制作」を除く4項目を広告費として、計38万5千円を後援会に支出したと記載。この金額は、奥見弁護士が公表したPR会社の請求書の内訳と一致する。後援会から支出した理由を、奥見弁護士は「請求の宛先が後援会だったため」と回答した。 一方で、残る1項目の公約スライド制作(33万円)は収支報告書に記載がなかった。奥見弁護士は「(選挙運動費用ではなく)政治活動費用として後援会が支払った」とし、5項目以外にPR会社への支出はないとした。県選管は「選管が審査するのは報告内容のみで誤りはなかった」とする。 一連の問題では、郷原信郎弁護士と神戸学院大の上脇博之教授が、斎藤知事とPR会社社長に対する公選法違反(買収、被買収)容疑で告発状を神戸地検と兵庫県警に出している。斎藤知事側は「公選法には抵触しないと認識している」として違法性を否定している。