兵庫知事選、有権者はどう判断? 教育、災害対策、経済・雇用…課題は山積
兵庫県知事選が31日告示され、17日間の選挙戦が幕を開けた。告発文書問題を巡って混迷を深めた県政の建て直しや、知事の資質といった争点だけでなく、教育・子育てや、経済、雇用、災害対策など、生活に直結する県政上の課題は山積している。県民はどういった政策や課題を重視し、新しいリーダーを選ぶのか。 「衆院選は興味を持てず棄権したが、知事選は告発文書問題など、いろいろ話題になったので関心があり、ぜひ投票に行きたい」 こう話すのは高校生の子供を持つ兵庫県姫路市のNPO職員、生尾知子さん(45)。知事選で候補者を選ぶ際に教育施策の内容を重視するといい、「大学無償化や給付型の奨学金など、高等教育の修学支援に積極的な候補を応援したい。増加している不登校や引きこもりへの支援を考えているかどうかもみてみたい」とする。 30年以上教育関係の仕事に携わったという神戸市中央区の自営業の男性(80)も「住む地域に関係なく学校を選べるなど、子供の選択肢を増やせるような教育制度を実現してほしい」と教育施策の充実を訴えた。 当の学生は知事選をどう見ているのか。「とても関心がある。投票には必ず行く」という同県豊岡市の県立芸術文化観光専門職大4年、前川友萌香さん(22)は、告発文書問題を巡る混乱を念頭に「県政を立て直してほしい。新しい知事には、風通しのいい県政を期待したい」と現状からの変化を望んだ。 県内の人口減少対策や農家の後継者不足も県政上の大きな課題だ。淡路島に移住後に地元住民から引き継いでシイタケ栽培を営む同県洲本市の農業、谷口史朗さん(31)は、原木を使ったシイタケ栽培のようなニッチ市場にも目を向けてほしいといい、「販路開拓支援や里山の景観保護に光を当て、地域活性化のため『攻める田舎』に変えるという視点を持ってほしい」と訴える。 中小企業経営者にとっては、新たなリーダーのかじ取り次第で経営環境が大きく変化するだけに視線は厳しい。マンションリフォームなどを手掛ける中堅建設会社「大匠」(神戸市兵庫区)の西森正樹社長(53)は「方針や政策がわが社の経営にも関連するので、県のトップを決める今回の知事選には関心がある」とし、「景気に大きく影響される建設業界は今、厳しい状況にあるので、選ばれた知事には経済が活性化する対策をぜひ実行してほしい」と求める。 兵庫県では平成7年の阪神大震災から来年で30年となり、防災対策や災害に強いインフラへの関心も高い。
運送会社に勤める同県西宮市の男性(52)は震災当時を振り返り、「あのときはインフラがズタズタになった。あれから時がたち、水道などはさらに老朽化が進んでいると聞くが、新しいものに交換するなど地震に強いまちづくりを急いでほしい」と注文をつける。誰に1票を投じるかはまだ決めていないというが、「パワハラとか人柄とかはこの際、二の次で、兵庫をよくしようと考え、しっかりと結果を出してくれる人に入れたい」と話した。