石破新政権の人事案:刷新感よりも安定感重視か:経済政策は岸田路線継承とアベノミクス脱却のパッケージ
抜擢色は強くないか
それ以外の閣僚人事では、官房長官は旧岸田派の林氏が続投、環境大臣には麻生派の浅尾慶一郎・参議院議院運営委員長、経済再生担当大臣に石破氏の側近である赤澤亮正・財務副大臣、経済産業大臣に麻生派の武藤容治氏、農林水産大臣に谷垣グループから無派閥に転じた小里泰弘氏、厚生労働大臣に旧茂木派の福岡資麿・参議院政策審議会長、経済安全保障担当大臣に、旧森山派の城内実氏、文部科学大臣に麻生派から無派閥に転じた阿部俊子氏、外務大臣には、石破氏の側近である岩屋・元防衛大臣、復興大臣には麻生派から無派閥に転じた御法川国会対策委員長代理、法務大臣に菅氏に近い牧原秀樹氏、デジタル大臣には石破氏に近い平将明氏、防衛大臣には谷垣グループから無派閥に転じた中谷元氏、子ども政策に無派閥の三原じゅん子氏、をそれぞれ充てる見込みだ。国土交通大臣は、公明党の斎藤氏が続投する方向だ。 石破氏は、自らに近い人物と無派閥色が強い人物を閣僚に多く登用する可能性が考えられる一方、麻生派、旧岸田派、旧森山派から幅広く登用し、党の結束に配慮している。 他方で、若手、女性の積極登用という抜擢人事的な色彩は強くない。閣僚で最も若いのは福岡氏の51歳だ。女性閣僚は阿部氏と三原氏の2名であり、現在の5名から大幅に減る。抜擢人事よりも、政治資金問題で揺れた自民党を立て直し、安定感を重視した布陣によって、選挙を乗り切る意図が感じられる人事案となった。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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