【クラシック オブ ザ デイ】歴史上最もクールでカッコいいワーゲン?シロッコGTIって何?初代「VW シロッコ GTI」物語
シロッコのスペアパーツ事情
エンジン、ギアボックス、シャシーなど機関部分の部品の供給は、「ゴルフ」との関係もあって順調のようだ。しかし、「シロッコ」オリジナルのパーツは事情が異なる。オリジナル品質のボディパーツの多くはもはや入手不可能であり、トリムやシートカバーも希少で、よほどの人脈がなければ入手できない。未改造の良質な「シロッコ」は今や希少であり、よく整備された「GTI」の固体を見つけることは事実上不可能である。
【大林晃平】 自動車を日夜一生懸命に(?)、開発している優秀なエンジニアの友達に「よく言われるプラットフォームが共通な自動車も、作るのは大変なんでしょう?」と当たり前の質問をしたことがある。 飲んでいたビールを口に運びながら「そりゃあもう大変ですよ。いくら共通のパーツがあったとしたって、自動車作るわけなんですから、ちゃんと走らせるようにする労力はそんなに変わりません」と酢豚の肉の塊を口に入れながら笑った。 彼が言うには、クロスオーバーのように、ちょっとだけ車高の高い自動車を作るのだってえらく大変で、たった20mmだけ車高を上げたとしても、開発者の労力は多大なものがあるのだという。「自動車をちゃんと走らすというのは、物理との闘いなんですよ」と、その時にえらく格好いい台詞をそのエンジニアは語っていた。
よくシロッコはゴルフの着せ替え人形だと言われるけれど、そのエンジニアの言葉を思い出すと、もう全く別の自動車を作るだけのエネルギーと苦心惨憺のエピソードがきっとあったのだろうな、と思ってしまう。特に今ほどコンピューターシミュレーションが発達していなかった当時、人海戦術で実験開発をするフォルクスワーゲンのエンジニアたちはきっと大変だっただろう。 何しろ背の高いゴルフを低くしてクーペに改良し、ちゃんと走るようにするのは並大抵のことではないと思う。こうまでディメンションが変われば、ありとあらゆる実験も必要なことは言うまでもない。せめてもの救いは(?)当時のフォルクスワーゲンのラインナップが少数精鋭だったことで、ポロ、ゴルフ、パサート、そしてシロッコという四兄弟だけだったことで、今のようにSUVもBEVもプラグインハイブリッドモデルもてんこ盛りのラインナップと比べれば、一台にかけることのできるマンパワーにも、結構なエネルギーを費やすことができたはずである。 その結果でもないだろうが、シロッコは当時の自働車雑誌にインプレッションでもかなりの高評価だったし、ジョルジョット ジュージアーロにデザインのボディもシンプルで美しく、地味と言われようがなんといわれようが僕は個人的に好きな一台であった。
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