「新耐震基準」を満たした家は“震度6の地震”がきても安全?「家の耐震基準」について専門家が解説
手島千尋アナウンサーがパーソナリティを務めるTOKYO FMのラジオ番組「防災 FRONT LINE」(毎週土曜 8:25~8:30)。今回の放送では、防災工学が専門の九州大学 浅井光輝(あさい・みつてる)准教授に「家の耐震基準」について伺いました。
地震が多い日本では、住宅を建築するときに建物の耐震性の高さが求められます。耐震基準は、今まで複数回にわたり見直され、「1981年以前」「1981年以降」「2000年以降」と大きく3つの時期に分けられます。 1981年以前に適用されていた基準を「旧耐震基準」、“1981年以降”に適用されたものは「新耐震基準」と呼ばれますが、浅井准教授は「その基準がずっと続いているわけではありません。1995年の阪神淡路大震災で多くの木造家屋が倒壊し、大きな被害につながったということもあり、2000年に建築基準の見直しが再度おこなわれ“震度6強が起きても壊れないような設計を”というような改定がおこなわれました。ただ、そこでのアップデートよりも1981年のアップデートのほうが大きかったので、そこを旧耐震・新耐震という言葉で分けることが多いです」と説明します。 2000年の基準は、新耐震基準で建築された多くの木造住宅が1995年の阪神淡路大震災で倒壊・半壊したことをきっかけに、木造住宅をメインに制定された基準です。では、1981年以降に適用された新耐震基準で建てられた建物であれば“安全”といえるのでしょうか? 「1981年以降の建築基準で建てられた家であっても“震度6の地震が発生したときに倒壊しない保証はない”ということを知っていてほしいです。40年以上の建物だと、当時よりも強度が弱くなっているのは当然のことなので、そこは把握しておいたほうがいいと思います」と浅井准教授。つまり、新耐震基準を満たしている住宅に住んでいたとしても、維持管理を丁寧におこなうことが大切ということです。 また、地震による災害で起きる“液状化現象(地盤全体がドロドロの液体のような状態になる現象)”によって、建物が傾いたりする可能性があります。また、今の建築基準法では震度6強以上で発生する揺れの周期が長い「長周期地震動」についての想定がされていません。そのため、タワーマンションのような高い建物ほど、長周期地震動による想定外の被害が出やすくなります。 新耐震基準の建物でも“絶対に安心”とは言い切れないため、事前にハザードマップを確認したり、耐震対策がされているかをチェックしておきましょう。 (TOKYO FM「防災 FRONT LINE」放送より)