AIの社会実装と活用の推進、必要とされる会社に--ソフトバンク・宮川社長
2025年に向けたIT企業のトップメッセージや年頭所感を紹介する。 ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 CEO 宮川潤一氏 2024年は元日に能登半島地震が発生し、夏には全国で豪雨などの自然災害に見舞われました。被災された皆さまに心からお見舞い申し上げるとともに、通信インフラの安定的な運用と維持を担う責務を改めて強く認識した年でした。また、世界各国では、生成AIをはじめとするさまざまなAIの開発やサービスの提供が相次ぎ、本格的なAI社会の到来を感じる年でもありました。 足元の業績を振り返ると、2024年度上期は全セグメントが増収増益で、期初予想に対して好調な進捗(しんちょく)となりました。それを受けて、2024年度通期の予想を上方修正しています。コンシューマー部門では、スマートフォン契約数の純増の継続はもちろんのこと、「ワイモバイル」ブランドから「ソフトバンク」ブランドへの移行も進み、2021年春の通信料値下げ以降、上期で初めて「ソフトバンク」ブランドの収支がプラスに転じました。結果として、顧客基盤の拡大が継続するとともに、通信料の平均単価の改善も進んだことにより、モバイル売上高の増収基調が継続しています。エンタープライズ部門では、ソリューションの売上高の増加率が2桁成長を継続しており、中でもクラウド、IoT、セキュリティの領域の売り上げが下支えしています。 今後の成長に向けた取り組みとしては、4600億パラメーターの国産大規模言語モデル(LLM)の研究開発用の公開や、AI-RAN統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」の開発を発表するなど、長期ビジョンの中核である次世代社会インフラの実現に向けて、さらに一歩前進しています。バックオフィス部門では、全社的に取り組んできたSDGs(持続可能な開発目標)へのさまざまな取り組みが評価されました。 2025年は、AIを中心に、これまでとは比べものにならないほどの激動の年になると考えています。2022年11月に登場した「ChatGPT」は、2年足らずでテキスト、画像、動画、そして音声の生成が可能となり、学術機関の博士号レベル相当の高度な推論能力を持つまでに進化しています。全人類の英知の10倍に匹敵すると言われるAGI(汎用AI)が誕生し、パーソナルアシスタントのような機能を果たすAIが登場し始めるのではないかと予想しています。そのような高度なAIがあらゆる産業や社会に実装され、活用が広がっていくほど、それを支えるインフラの価値は高まり、ソフトバンクが果たすべき役割はますます重要になるでしょう。 ソフトバンクは、来たるAI社会を支える基盤の構築と通信ネットワークの高度化をさらに推進し、AIの社会実装と活用をさらに推し進め、人々や社会に最も必要とされる会社になることを目指していきます。