ANA、787-10急きょ羽田-札幌2往復目投入 関空に夜間駐機へ
全日本空輸(ANA/NH)の次世代国内線フラッグシップとして3月27日に就航したボーイング787-10型機の初号機(JA981A)が、機材繰りのため急きょ羽田-札幌(新千歳)線を2往復することになった。機材繰りによるもので、札幌線2往復に加えて関西空港に夜間駐機が決定した。札幌と関空へ就航後、27日時点の計画では29日に福岡、30日に那覇、4月6日に伊丹の順に投入する予定だが、今後の機材繰りで変更になる可能性がある。 【写真】機材繰りで初日から追加投入が決まったANAの787-10国内線仕様機 ◆就航初日に関空ステイ 27日は当初、札幌線を1往復(NH59/62)して就航初日の運航を終える予定だったが、羽田午後3時発の札幌行きNH69便と、折り返しの札幌午後5時30分発の羽田行きNH74便にも投入。ANAによると、両便は機材変更のため出発が遅れた。 急きょ投入となった27日のNH69/74便は、787-8(2クラス335席)で運航予定だった便。NH69便は羽田を1時間5分遅れの午後4時5分に出発し、札幌には1時間7分遅れの午後5時37分に到着した。折り返しのNH74便は札幌を55分遅れの午後6時25分に出発して、羽田には午後7時57分に到着した。 また、同じく787-8で運航予定だった27日の羽田午後8時30分発関西行きNH97便と、折り返しであす28日の関西午前7時10分発羽田行きNH94便も、787-10の投入が決まった。NH97便は羽田を15分遅れの午後8時45分に出発し、関空着は15分遅れの午後10時5分を予定している。28日朝のNH94便は、定刻通りの運航となる見込み。 ANAの787-10の座席数は2クラス429席で、プレミアムクラス28席、普通席401席。1998年に就航し、退役が始まっているANAの国内線最大の機材である777-300の2クラス514席(プレミアム21席、普通席493席)に次ぐ座席数を誇る。ANAでは、400席クラスの777-200/-200ERに加え、現在の国内線フラッグシップである500席クラスの777-300も次世代旗艦機の787-10で置き換え、大型機による運航便の低騒音、省燃費化を進める。 ANAは787-10を国内幹線に投入する。27日時点の投入計画は札幌と関西に就航後、29日の羽田午後7時発のNH269便から福岡線、30日の羽田午後8時15分発のNH479便から那覇線、4月9日の羽田正午発のNH23便から伊丹線に投入する見通し。いずれも今後の機材繰りなどで変更になる可能性がある。 ◆2030年度100機超の787 ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、787-10の国内線仕様機を11機発注済みで、2026年度までに受領する計画。同時発注で、ANAの787では初めてエンジンにGE製GEnx-1Bを選定した787-9の国内線新仕様機とシートも同じものを採用しており、787-10は普通席が54席増える以外はほぼ共通の機材となる。 787は標準型の787-8、長胴型の787-9、超長胴型の787-10の3機種で構成され、ANAは全機種を運航中。胴体がもっとも長い787-10の全長は、787-8(56.7メートル)と比べて11.6メートル、787-9(62.8メートル)より5.5メートル長い68.3メートルで、777-200/-200ERよりも4.3メートル長い。ANAHDは27日時点で787を84機保有しており、787-8を36機、787-9を43機、787-10を5機保有している。 787-8のうち、2機はANAHD傘下であるエアージャパン(AJX/NQ)の新ブランド「AirJapan」仕様(1クラス324席)に改修されたことから、ANAブランドで運航している787-8は現在34機となる。5機ある787-10のうち、3機は2019年4月26日に就航した国際線仕様機(3クラス294席)で、エンジンはロールス・ロイス製トレント1000を搭載している。 ANAHDでは、主力機材である787を2030年度には16機以上増やして100機超に拡大を目指す。
Tadayuki YOSHIKAWA