日本ワイン、今こそ船出の時! ワイン大国・フランスで日本ワインを広める男の物語
――そこから日本のワイナリーへ声かけを始めたんですね。 そうです。ワイナリーに直接連絡をしました。 でも今回が初開催で、私自身に知名度も実績も無い。さらに渡航費用は各ワイナリー負担だったので、集まるか心配でした。でも最終的に11のワイナリーがブルゴーニュの会場へ実際に来てくださり、その他に21ワイナリーがワインを送ってくれました。 ――試飲会は大盛況だったと伺いました。 本当にすごかったですよ。ブルゴーニュの有名ワイナリーの方、ワインショップのプロバイヤーのほか、醸造学を学ぶ学生、ワイン愛好家などおよそ450人が来てくださいました。私たちは当初300人ほどの来場者を想定していたので、74種類も用意していた試飲用ワインが予想を超えるスピードでなくなったので、嬉しい驚きでいっぱいでした。 ワイナリーごとに約180センチの細長いテーブルを用意してサービスをするスタイルでしたが、フランス人たちがそこに波のように押し寄せ、「俺にも飲ませろ!」と言わんばかりにワイングラスを向けていたのが大変印象的でした。 でも正直言うと、開催前は、日本ワインについてフランス人がどういう感想を抱くか不安もありました。このイベントで初めて日本ワインを飲むという人がほとんどだからです。でも、蓋を開けてみたら、彼らはフランスワインとは異なる味わい、香りを堪能し、「本当に美味しい!」と率直な意見を伝えてくれたんです。 このフランス人たちの反応は、参加した日本からのワイナリーにとっても大きな刺激となったようです。 実は、試飲会の翌日と翌々日に、来場した日本のワイナリーの皆さんと一緒にブルゴーニュのワイナリーなどをめぐり、本場の醸造技術を学ぶ視察ツアーもスケジュールに含まれていました。なので、むしろこの視察のほうを大きな目的として渡航し、輸出は全く考えていなかったワイナリーも多かったです。 でも、試飲会でのフランス人たちからの予想以上の好反応を見て、今後輸出する方針に転換したり、中には実際にヨーロッパのインポーターからの引き合いを受けて、輸出に向けた話し合いを始めているワイナリーもあるんです。 確かに、あんなすごい景色を見てしまうと心変わりすると思います。それだけすごかったんですよ。