日本ワイン、今こそ船出の時! ワイン大国・フランスで日本ワインを広める男の物語
日本ワイン普及に尽力しつつ、ワイン生産も目指す
――そんなチャンスを活かすために、ぜひ試飲会の2回目をやりたいところですね。 もちろんです。すでに次回に向けて動き出しています。 この試飲会を通じて、新たな商機になるだけではなく、日本ワインに対するフランス人の意見を聞くことができたり、日本のワイナリーがブルゴーニュでの視察を通じてワイン造りの技術を発見できたりする。そういったことも、この試飲会の開催意義です。 そして今は、試飲会とは別に、フランスのレストランで、日本ワインのイベントを企画しています。 今回の試飲会は大成功でしたが、来場者は食事をとらずにたくさんの種類のワインを次々に試飲したので、日本ワインの中でも比較的味の濃い特徴があるワインなどが好まれたように思います。でも、もし食事をしながら日本ワインを飲んでいたら、試飲会とは受け取られ方が異なると思います。レストランで食事をしながらでも日本ワインがフランス人に高評価を得られたら、ヨーロッパ進出の可能性をさらに証明できると思います。 そしてさらに期待されるのが、20~30代の若い日本ワインの造り手です。「日本ワイン第7世代」と私は呼んでいますが、大手ワイナリーでなくても、創業した時点で海外進出が見えている、初めての世代です。 彼らが今回のような試飲会を通じて、海外のレストランやインポーターたちと交流することで、ワイナリーを立ち上げたばかりの若い生産者であっても、実力さえあれば、パリの星付きレストランに自身のワインが置かれるチャンスがあるかもしれません。日本ワインの新しい時代はもう来ているのです。 私自身も生産者として日本でワインを造りながら、フランスでの日本ワインの普及活動を続けていくことをライフワークとしていくつもりです。
取材・文:星谷なな