「W杯出場、おめでとう!」 ジョークにも思わずうなずく、森保ジャパンの際立つ充実ぶり
サッカーの2026年W杯北中米大会アジア最終予選・中国―日本戦(11月19日)を見届けた後、ベッドに潜り込んだ記者のスマホが震えた。旧知のポーランド人記者からのメールだった。 ◆貴重?スーツじゃない森保監督【写真】 「W杯出場、おめでとう!」 ポーランド流? のジョークなのだが、そう考えてしまうのもうなずけるほど、日本の充実ぶりは際立っている。6試合を終えて、日本は5勝1分け。次戦のバーレーン戦(来年3月20日・埼玉スタジアム)に勝てば史上最速でW杯出場が決まる。前回大会出場国のサウジアラビア、オーストラリアと同居しながら、4試合を残して、2位と勝ち点9差。指揮官の解任危機の窮地に陥った前回予選とは打って変わり、ここまでの一人旅は過去に例がない。 ポーランド人記者のメールには“続き”があった。 「ポーランドはW杯に出場するのはちょっと難しいかもしれない。だから、森保監督に指揮を執ってもらえないだろうか?」 もちろん、こちらもジョークなのだが…(えっ本気?)。18年W杯当時は8位だった世界ランクはわずか6年で35位へ急落した。前哨戦の欧州ネーションズリーグ1次リーグA組で最下位と低迷。欧州のW杯出場枠は3枠増の「16」に増えたが「このままでは…」と危機感でいっぱい。その主因の1つが、世代交代がうまく進んでいない点にあるという。 東欧からの嘆き節を見て、9カ月前に聞いた危機感を思い出した。日本協会の反町康治前技術委員長(現清水GM)はこんなことを語っていた。 「堂安、(久保)建英、トミ(冨安健洋)は16、17歳で(プロ)デビューして、20歳前後でフル代表でもデビューしている。今、そういう選手が思い浮かばない。それを何とかしたいなとずっと考えていた」 日本協会はJクラブの公式戦に出場可能な特別指定選手制度に、大学2年までを対象にプロ内定を必要条件としない「日本協会推薦枠」を新設するなど育成に注力する意向は強い。たとえ他国から羨望(せんぼう)の声が上がろうと、未来への“種まき”を止めてはいけない、ということだろう。(サッカー担当・松岡祐司)
中日スポーツ