「ウルトラマンシリーズ」でどれだけ儲かった？今1番キテる…円谷プロの経営を大解剖
【図解】ウルトラマンの「ブームの変遷」と「売上推移」
これまでのブームをまとめると下記のようになる。 この流れを踏まえると、果たしてウルトラマンが作り出した経済圏はどのような軌跡を描くのだろうか。 2023年に海外商品化（うち9割が中国）で1,500億円となったが、ウルトラマンブームが生きていた1973年、1981年、1998年は国内だけでほぼ近い数字を出していた。特に1973年当時の1,000億は現在の2,400億円、昭和中期のウルトラマンは空前の大ヒットであった。 だが常に「ブームの継続性」が課題となり、5年サイクルで流行は終息し続けていた。直近2019年から始まる「第6次“世界”怪獣ブーム」の特別さは、中長期で持続できる初めてのトレンドを見せていることだろう。 それは動画配信による映像アーカイブ、ファンクラブ会員、カードゲームのようなコミュニティを保存できる商流の力によって「円谷プロダクション」としてのIP経済圏の継続展開方法の練度が大きくあがって証左だろう。 Googleトレンドから見る「奥特曼（中国語でウルトラマン）」は、経営が混迷期にあった2007～2012年に大きなピークをつけている。2013年以降はグーグル自体の中国撤退が影響して数字が下振れして見えるが、2019年の「中国の奇跡」の10年前にはすでに中国でブームは火がついていたのだ。だが当時の脆弱な経営体制と混迷の著作権闘争状態では投資が行えず、結果的にそれは下の世代の時代を経て着火し、今現在の中国ウルトラマン2世代の超好景気につながっている。
ウルトラマンが「キャラ史」を更新したと言える理由
一度ブームになったものは、それが鎮火したとしても消失することはない。当時は海賊版消費で企業収益につながっていなかったとしても、種火に着火する商材（2019年はトレカ）さえハマれば、海外で1,000億円といった売上も望める、ということは日本キャラクター史における新しい1ページとも言える。 そしていま円谷プロは中国だけでなく、日本市場でも過去ない好景気に入っている（バンダイナムコHDの「ウルトラマン」IP売上は2019年78億→2023年191億と倍以上に成長）。すでに6度目となるブームにおいて、いまや3世代でなく4世代に連なる日本最古クラスのキャラクターIP「ウルトラマン」はまだキャラクター経済史が見たことのないフロンティアの最前線にあるのだ。
