バイクのBMW「M」リッター210馬力超マシンを雨のサーキットで転がしてみた【M1000XR、M1000RR、M1000R冷や汗試乗】
純正タイヤは恨めしいほどのハイグリップ設定
試乗に用意された、色んな意味で屈強な3台のMシリーズだが、雨には分が悪い。その理由の第一は、標準装着のタイヤだ。 ■M1000RR=ミシュラン・パワーカップ2。公道走行も可能なサーキット用タイヤ。ミシュランは「最適化されたグリップ性能で、優れたウォームアップ性能」とアピールするが、ウエット性能には一切言及していない。センター部に細かい溝は切られているが、サイドトレッドに溝は皆無だ。 ■M1000RとM1000XR=ブリヂストン・バトラックス・レーシングストリートRS11。サーキット用タイヤの同社製R11をストリート用にチューニングしたタイヤ。前述のパワーカップ2よりトレッドに溝は多いが、ブリヂストンは「ドライ路面でのスポーティで高い運動性能を求める方」向けとしている。こちらもウエット性能は触れられていない。 以上のタイヤで、雨のサーキットを走り出すことを、まずはお断りしておく。 3台の試乗車は、ともにMシリーズのSTD(ベーシックモデル)に対して、カーボンホイールのほか、各部にカーボンパーツを装備した値段が高いヤツ……「Mコンペティションパッケージ」だ。 M1000RRは448万8500円(STDは384万9500円)、M1000Rは339万3000円(STDは271万7000円)、M1000XRは392万8000円(STDは327万9000円)。300万円を軽く超えるモデルが3連発、そして雨で滑りやすいタイヤ。攻める気分よりもまず、この試乗取材をどう転ばずに終えるかが最大の使命だ。 「バンク角は浅めを心がけ、速度も極力落としてください」との注意をBMWモトラッド側から頂きつつ、先導ライダー付きで出走となる。バイクの性能がどうのというより、いろんな意味でハードルが高い……。こうした試乗取材は過去にあまり経験がなく、ベースモデル(S1000RR、S1000R、S1000XR)に対してエンジンパワーも各部の仕様も盛ってある「M」に、戸惑いつつのスタートとなった。