記者の実家も立ち退きに…どう決まる?道路建設【#みんなのギモン】
寺側の負担は…
墓を移転するにあたっては、寺側は様々な事をしなければなりません。 ・墓の持ち主すべてに改葬の同意を得る。 ・新しい墓地の許可申請、改葬の許可申請、元の墓の廃止許可申請。 ・新しい墓地周辺住民への説明会。 ・継承者や縁故者がいなくなった「無縁墓」を調査し遺骨を合祀(ゴウシ)する。 ・土葬していた遺体を掘り返して火葬する。 一般住宅の移転でさえも大変なのに、墓を移動させるのはとんでもない労力が必要となるのです。 開通が待たれる放射7号線。なぜ、たくさんの墓がある場所に道路を計画したのでしょうか。
墓地を横切る道路計画…誰が決めたのか?
東京都によると今回の放射7号線は、1946年の戦災復興計画で決定され、その後、1962年に寺の上を通ることが決まりました。つまり、今から60年以上前にはすでに立ち退きが必要となることが明らかになっていました。
その後も計画の見直しは行われず、2006年に国からの認可が下り用地買収などが始まりました。住職が具体的に立ち退きを求められたのも、このタイミングだといいます。 都市計画事業では、寺や墓があろうとも基本的には特例は認められません。また、墓の下に道路を通す「地下化」を望んでも、交差点や鉄道など交通障害が起きる場所以外は認められません。 なぜ500年以上も前からある寺の敷地内に道路を計画したのか? 東京都や国土交通省に問い合わせても、終戦直後の計画内容を知る人はいませんでした。
一刻も早い移転が求められるが…
善行院 大庭一記住職 「考えている事は私も檀家も同じで、円満に速やかに寺と墓を(新しい場所に)移すことです」 住職は20年近くにわたって"ごねて"いるわけではなく、道路開通を待ち望んでいます。ただ、墓の移転問題が解決しない以上、立ち退きに応じるわけにもいかない苦しい立場なのです。
開通を見越して出店する店も…
9割以上が完成している「放射7号線」の西端部。開通を見込んでドラッグストアが道路沿いに移転してきました。しかし目の前の道路は車での通行ができません。工事などを行う東京都第四建設事務所は、「地元からの要望もあり、部分的な開通を目指している」と語りました。