記者の実家も立ち退きに…どう決まる?道路建設【#みんなのギモン】
「あなたの家の土地は、道路計画のルート上にあるので譲って頂きます。立ち退いて頂き、新たに住む場所を探して下さい」ある日、役所の職員からこのような連絡が来たら…。 道路の建設計画は自分の知らない間に着々と進められていることがあります。 もしそうなったらどうしますか? (報道局 調査報道班 川崎正明)
建設中の道路の先にあるものとは?
東京都練馬区大泉学園町。25メートもの道幅がある幹線道路が建設中です。工事を行っている区間は約2キロ。歩いてみると9割以上が完成しており、車が通行していてもおかしくない状態でした。しかし1か所だけ全く通れず、道路整備が止まっている場所がありました。
そこにあったのは100基以上もの墓。近くには寺の本堂も見渡せます。道路の計画線上に用地買収もされていない、寺と墓が立ち並んでいたのです。
この道路は千代田区九段北からつながる東京都市計画道路「放射7号線」、通称「目白通り」です。将来はさらに西に延伸され埼玉県狭山市まで結ばれ、都心と埼玉県西部を結ぶ重要な幹線道路となる予定です。
事業認可から18年…あと1か所立ち退けば
問題となっているのは東京都練馬区の「放射7号線」区間の西端部分。墓の立ち退きが進まないため、約2キロの工事区間については、国から事業認可が下り18年が経過した今も開通に至っていません。
130基の墓地を横切る道路計画
上空からの写真を見てみると、両側を道路に挟まれた形で墓が立ち並んでいます。道路整備は墓地の手前で完全にストップしています。 この場所は日蓮宗の寺、善行院。住職によると今から500年以上も前の1490年に開かれたといいます。敷地内には3階建ての本堂と約200基の墓が建てられています。そのうち約130基の墓が道路計画の線上にあります。住職はこれまで20年近く東京都側と移転や用地買収の話を続けてきたといいます。 善行院 大庭一記住職 「すべての墓と本堂が合わさって一つの寺なのですから、道路計画にかかっていない(約70基の)墓を残して、移転するわけにはいきません。都側と話し合いを続けていますが、担当者は人事異動で2~3年で変わってしまいます。代替地の提示もされましたが敷地が狭く、すべての墓が入りきらないのです」