韓国捜査本部、尹大統領の逮捕状執行を停止-公邸周辺で反対デモ
(ブルームバーグ): 韓国の尹錫悦大統領を内乱の疑いで捜査している合同捜査本部は3日、尹氏に対する逮捕状の執行を停止したと発表した。
聯合ニュースによれば、高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)の捜査チームを乗せた車両が大統領公邸に同日午前に到着したが、大統領警護官に執行作業が阻まれた。
また、現職大統領の逮捕という前例のない動きに反対する抗議活動が公邸周辺で行われ、警察は約2700人の警官を配備したとも伝えられた。
公捜庁は声明で、「対立が続いており逮捕状を執行することは事実上不可能」と判断し、現場の安全確保を考慮し午後1時30分(日本時間同)に執行作業を停止したと明らかにした。
今後の対応は、今回の検証を踏まえ決めるという。法的手続きに応じなかった尹氏の姿勢は、極めて遺憾だとしている。逮捕状は6日まで有効で、再び尹氏逮捕に動く可能性もある。
聯合は先に、捜査官らは軍の封鎖を突破し公邸の敷地内に進入できたが、建物内にはまだ入っていないと報じていた。警察はデモ参加者数を1200人前後と見積もっているという。
尹氏の警備担当者はブルームバーグ・ニュースに対し、捜査官と軍の間に対立はなかったと語った。公捜庁と国防省はコメント要請にすぐに応じなかった。
尹氏の代理人は逮捕状の執行作業開始を違法とし、法的措置を取ると表明。これまでにも逮捕状の執行を阻止するため裁判所の差し止め命令を求めていた。
尹氏の支持者らデモ参加者は、公捜庁の解散や尹氏最大のライバルである李在明氏の逮捕を求める声を上げ抗議。最大野党「共に民主党」の代表を務める李氏は汚職疑惑に見舞われながらも、尹氏が大統領職を失った場合に実施される大統領選の最有力候補とみられている。
内乱容疑で尹氏に対する捜査を強く求めてきた同党の報道官は3日、「韓国の全員が内乱の首謀者と疑われる人物に対する令状の正当な執行に協力すべきだ」と述べた。
3日の韓国株式市場では、韓国総合株価指数が上昇。5営業日連続安後の押し目買いやバッテリー関連銘柄の値上がりが寄与している。韓国ウォンも対ドルで上げている。