考察『光る君へ』36話 運命の皇子誕生!『紫式部日記』にも記された貴族たちの無礼講「五十日儀」で、ついに赤染衛門(凰稀かなめ)に気づかれた?「左大臣様とあなたは、どういうお仲なの」
大河ドラマ『光る君へ』 (NHK/日曜夜8:00~)。舞台は平安時代、主人公は『源氏物語」の作者・紫式部。1000年前を生きた女性の手によって光る君=光源氏の物語はどう紡がれていったのか。36話「待ち望まれた日」は、中宮・彰子(見上愛)の出産、誕生した親王を祝う「五十日儀」での出来事を中心に『紫式部日記』にもある記述をもとにした場面も盛りだくさんに描かれます。ドラマを愛するつぶやき人・ぬえさんと、絵師・南天さんが各話を毎週考察する大好評連載38回(特別編2回を含む)です。
顔を上げた彰子
寛弘5年(1008年)。藤式部──まひろ(吉高由里子)による『源氏物語』の執筆は、ますます好調らしい。そして、中宮・彰子(見上愛)と敦康親王(渡邉櫂)もより親密に……ここで宮の宣旨(小林きな子)から香炉を差し出されて彰子が催す吐き気。「うっ」からの妊娠がわかるというのはドラマの定番だが、空薫物(そらたきもの)の香でつわりとなるのは、さすが平安大河という気がする。「中宮様がご懐妊あそばされた」 道長(柄本佑)と倫子(黒木華)の左大臣夫婦は喜びに満たされる……主人夫婦の幸せを目にして赤染衛門(凰稀かなめ)も嬉しそうだ。中宮の指南役がまひろに移り、彼女は内裏から下がり、倫子の傍に戻ったらしい。もともと娘時代から倫子のご指南役だったものね。中宮の懐妊祝いに標(しるし)の帯を賜るよう蔵人頭に命じる一条帝(塩野瑛久)の表情がどことなく憂いを含むのは、もし生まれるのが皇子だった場合、敦康親王が政治的に難しい立場に立たされる──帝である自分は、非常に厳しい判断を迫られるだろうという予想からか。 そうした帝の御心は知らず、名実ともに帝の后となった上に御子まで授かり、彰子の心は瑞々しく解き放たれる。漢学を学びたい、帝に内緒で学んで驚かせ申し上げたい。「亡き皇后様(定子/高畑充希)は漢籍がお得意であったのであろう?」今の彰子には、定子は重荷でもけっして越えられない競争相手でもなく、学ぶべき先達。うつむきがちだった彼女が顔を上げ、高みを目指す姿は美しい。指南役として、まひろも教え甲斐があるだろう。
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