新型フォルクスワーゲン・パサートは乗れば乗るほど味が出るイイクルマだったワケとは?
速い、そして快適
乗った印象は、4915mmの全長をもつ余裕あるサイズのボディに期待する以上の、機敏さと快適さを兼ね備えたものだ。モーターはたっぷりしたトルクで1.8tの車重を一切意識させない。 試乗ではほとんどの場面で、EV走行に終始した。エンジンがかかっても静かで、存在を主張しないの。ピュアEVならではの、力があって静か……という魅力を知っていて、かつ長距離を走る機会の多い人が、プラグイン・ハイブリッドに惹かれているそうだ。 本原稿を記している時点(2024年末)で、国からのPHEV補助金は¥550,000。プラグイン・ハイブリッドのeHybridはパサートのラインナップでもっとも高価だけれど、補助金を引くと、eTSIに迫る金額となる。これも日本市場での追い風になるのでは、と、日本法人の広報担当者はみている。 速い、そして快適。これがパサートの印象だ。快適というのは、試乗車に装着されていた、最新のアダプティブシャシーコントロール(電子制御ダンパー)の「DCCプロ」がいい仕事をしてくれているのだ(eHybridエレガンスでは¥176,000のオプション)。 高速では荒れた路面だろうと快適な乗り心地を提供してくれる一方、カーブが連続する道では車両の姿勢をしっかり安定させてくれる。ステアリングは正確で、かつ絶妙な操舵感覚。どんな道でも、いいなぁと思わせてくれた。 車両の空間利用をあらわす「パッケージング」に、フォルクスワーゲンは(トヨタと並んで)長けている。新型パサートも、クルマとしての使い勝手は非常に良く、2840mmのロングホイールベースを活かして、後席では長身のひとも脚を組めるし、荷室容量は690Lと広い。 ステーションワゴンの特徴を最大限活かしたといえるパサート。リッターあたり18.0kmの燃費(WLTC)をもつeHybridの価格は、エレガンスの¥6,559,000からだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)