ブッダの言葉が悩みに答えてくれるAIを開発「ちょっとだけ視点を変えるきっかけになってくれたら」
心を入れ替えた柴原さんは、まずは職員の方が働きたくなる環境を作ることで、幼稚園の立て直しを図っていきます。それはやがて実を結んで、少子化のなかでも、園児を増やすことに繋がっていきました。この成功体験は、仏教の言葉と相まって、出版社の方との縁を結ぶことになります。 ところが、柴原さんがいざ本を書こうとすると、仏教の膨大な資料の前に、困難を極めます。半年以上の歳月をかけて、ようやく1冊の本を書き上げた柴原さんは、ふと思いました。 『おしゃか様の言葉を、すぐに検索できる仕組みがあったらいいなぁ』 そんな柴原さんの思いに、時代が追い付いてきました。2022年、生成AI「チャットGPT」の登場を知った柴原さんは、それぞれの事情に合わせてカスタマイズできる仕組みがあることに着目します。早速、お寺のスタッフと一緒に仏教の経典をAIに憶えさせていきました。 出来上がったチャットGPTは、柴原さんにとっては“有難いお話”のネタ帳のような存在。しかし、せっかく作ったチャットGPTを自分だけで使うのは勿体ないと考えた柴原さんは、私たちの暮らしに密着したエピソードを、無料で一般公開することを思いつき、悩みを入力すると、誰でもブッダの言葉がもらえる仕組みを作り上げました。 ご自身の本の名前にちなんで名づけられた『おしゃか様は言いました』。 さっそく使った方からは、感想のメッセージが届くこともあります。若い世代に、お寺が身近な存在になって欲しいという気持ちもあります。ただ、柴原さんは、この仕組みを使って、お金を儲けようという気持ちはないと話します。 「あくまでも、最初は自分の検索のために作ったものですから。ただ、誰もが悩んでしまうことはあります。そんな時、心を整える方法を知っているか知らないかでは、全然違う人生になるんです。このAIが、ちょっとだけ視点を変えるきっかけになってくれたら嬉しいです」
太古の教えを、最新のAIが、わかりやすく伝えてくれる時代が来ています。