免疫力を保ち、感染症リスクを減らすには? 秋冬の体調管理と運動、腸活のポイントは?
秋から冬にかけての季節の変わり目は、免疫機能が下がりやすく、風邪や感染症のリスクが高まる時期。その感染症対策に必要と言われているのが「免疫」だ。適度な運動が免疫力向上に役立つとされるが、激しい運動はかえって免疫力を一時的に低下させる場合があることがスポーツ医学では知られている。一般的に、運動している人は健康と思われがちだが、はたしてそうだろうか。知るべき体調管理、感染症の予防対策、また免疫力を支える“腸活”について、大正製薬株式会社の営業管理部 教育グループ 学術担当の丸山さんに伺った。
高強度運動で免疫力低下?
一般的にスポーツ医学の研究によれば、激しい運動を続けると風邪などの感染症リスクが一時的に上昇するとされている。その一因として、運動直後には免疫細胞の数が減少することが挙げられる。運動時の体への負荷が大きくなると、免疫機能の指標である分泌型免疫グロブリンA(SlgA)の分泌が減り、血中のリンパ球やナチュラルキラー細胞が一時的に減少する。また、炎症を引き起こすサイトカインの分泌も促進し、免疫系が疲労しやすくなるのだ。さらに、高強度の運動を続けることで、呼吸器や消化器の粘膜免疫が低下することがあり、ウィルスや細菌の侵入に対する防御が弱まるとされている。 これらの影響は一時的なものであるが、この状態を防ぐには、運動後の十分な休息と栄養補給を行い、この回復期間には、ビタミンCやアミノ酸などの摂取が効果的だ。過度なトレーニングや回復期間戻らないままの状態では、慢性的な免疫低下を引き起こす可能性があるため、注意したい。
免疫力を保つ鍵は腸内環境にあり
免疫機能を保つために重要なのが、腸内環境だ。腸内環境のバランスが整うことで免疫力が向上する。腸内を整えるためには、毎日「生きたビフィズス菌や乳酸菌」を摂取し、善玉菌のエサとなる「水溶性食物繊維」や「オリゴ糖」も一緒に摂ることで、腸内環境が改善されるが、これは実践している人も多いだろう。 もう一つ重要なことは「悪玉菌を増やさないこと」があげられる。食生活の乱れ、特に動物性たんぱく質や脂質の多い食事に偏ると悪玉菌が増える原因となる。悪玉菌は有害物質を産生し、免疫機能の低下だけでなく腸の消化・吸収力の低下や肌荒れなどのトラブルも引き起こすため、特定の食材に偏らない食事が大切だ。 ポイントは、善玉菌と一緒にビタミンを摂取すること。悪玉菌増殖が抑制され、善玉菌が増えやすくなるからだ。ともあれ、腸内環境は日々変わりやすい。基本的なことだが毎日続けることが重要だ。日々のストレスも大敵。栄養を補うサプリメントと同様に“整腸剤”を活用すれば毎日続けやすくなるだろう。