アリババグループが日本向け越境ECアプリ「TAO」、中国発の「Temu」「SHEIN」などに対抗か
アリババグループ傘下で国際EC事業を担うAlibaba International Digital Commerce Group(アリババ インターナショナル)は10月8日、日本市場向けの越境ECアプリ「TAO(タオ)」をリリースした。中国でグループが運営するECモール「淘宝(タオバオ)」の特徴を生かして、高品質な商品をリーズナブルな価格で提供するという。 アリババ・インターナショナルは日本国内に淘宝日本(タオバオニホン)を2023年3月に設立。「TAO」は日本市場に深く根付いた信頼されるECプラットフォームをめざすとしている。 日本をはじめ中国発の越境ECサービスが世界中のユーザーを獲得しており、「TAO」は「Temu(テム)」「Shein(シーイン)」などに対抗するため開発したと見られる。「Temu」は、中国のPDD Holdingsが運営する格安を武器に規模を拡大している越境ECサイト。「SHEIN」はシンガポールに本社を置くSHEIN Groupが運営するファッション&ライフスタイルの越境ECサイト。
日本貿易振興機構(JETRO、ジェトロ)が発表した2024年版の「世界貿易投資報告」によると、直近で越境EC取引で利用したプラットフォームについて、「SHEIN」が9%で3位、「Temu」が7%で4位に入っている。1位は米国のアマゾンが24%、2位は中国のアリババ・アリエクスプレスが16%。なお、「Temu」は2023年のショッピングアプリのダウンロード数で世界1位となったとしている。
「TAO」では日本のユーザーニーズや趣味・好みを踏まえた商品を選定。利便性などを含めた買い物体験の向上、魅力的なビジュアルで商品の購入意欲を引き出す買い物体験を提供していく。 現在、アパレル・アクセサリー、インテリア家具、家庭用収納、バス・寝具、アウトドアキャンプ、ペット用品、調理器具、オフィス用品などのカテゴリーで300万点以上の商品を販売。今後、商品数やカテゴリーを拡充していく。 シーン別やトピック別の商品推薦により、アプリ内を探索しながら商品を発見できる感覚を提供、関連する商品を発見できる買い物体験を提供する。クレジットカード・デビットカード、PayPay、コンビニ決済、Pay-easyなどの決済方法に対応している。 配送面ではヤマト運輸、佐川急便など日本国内の大手運送事業者と協力。購入から40日以内であれば、無料で返品に対応する。 日本向けに専門の日本語カスタマーサービスチームを設置、アプリでのオンラインチャット、電話ホットライン、電子メールなど多様なカスタマーサービスを提供。時差などタイムラグを回避し、ユーザーからの問い合わせへ迅速に対応するとしている。 アリババ・インターナショナルは、中国本土以外の世界各地の3億500万人以上の消費者に対してサービスを提供。2024年度(2024年3月期)の売上高は、前期比46%増の1025億9800万元で、アリババグループでもっとも急成長している事業の1つという。