ニュージーランドで「レクサス」が再発見させてくれた、クルマの旅の醍醐味
おとなっぽい乗り味のLBX Morizo RR
LBXはレクサスのラインナップでもっともコンパクトなハッチバックだ。このクルマでは、内陸へと向かった。高い木が生えていない荒涼としたかんじの風景が広がるクラウン・レンジ・ロードを通って、ワナカへ。帰りはワインで知られるギブストンバレーを経由した。 LBXは、コンパクトだけあって、はっきりいって2プラス2というクルマだけれど(それでいい、という都市生活者のニーズが高いようだ)、1.5リッターハイブリッドユニットはなかなか“いい仕事”をしてくれた。気持ちよく加速感と操縦性が味わえるクルマなのだ。 そしてLBX Morizo RRは、標準モデルとは似ても似つかぬ224kW(304馬力)の最高出力をもつホットハッチ(高性能ハッチバック車)だ。 これを交通量が少なく、道も適度に屈曲しているクイーンズタウン郊外で乗れたのは僥倖(ぎょうこう)だなあと、うれしくなった。やたら速いというより、おとなっぽい乗り味で、希有(けう)な仕上がりだ。 「いまフランスではこういうエンジン車には車両と同じぐらいの高税がかかるので、日本がうらやましい」。フランスの自動車雑誌の編集長が、そう語っていた。 自分でもまた再訪したい土地だ。そのときはクイーンズタウン近くにあるアロータウンにも泊まってみたい。1970年代の軽井沢を小さくしたような町で、英国とか東欧の現代作品などを上映しているマニアックな映画館とクラフトジン専門のマニアックなバーがくっついたいいかんじの建物があったりする。 「Lexus Empowered Adventurer Program」というのが、今回のドライブのタイトルだった。クルマで旅すると発見が多い、ということをあらためて気づかせてくれた。クルマとともに経験を提供するのがレクサスのモットーというだけある。 取材協力:Lexus International ■著者プロフィール 小川フミオ モータージャーナリスト クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。
朝日新聞社