「ベルギーで需要が出てきた」充実の2023年を終えた渡辺剛が胸を張る“自分の強み”。怒涛の51戦フル出場に「もっと上に行ける」【現地発】
古巣サポーターから寄せられた長く、温かな拍手
12月26日、コルトレイク対ヘントのキックオフ直後、ホームチームのサポーター席で一枚の日の丸が振られていた。 【PHOTO】2024年元日開催のタイ戦に挑む日本代表招集メンバーを一挙紹介! 「見えてました。あのひと、俺がコルトレイクにいた時からずっと掲げてくれているんです。今日もまた掲げてくれました。昨シーズンが終わると『ずっと応援しているよ』と言ってくれました」 半年ぶりにアウェーチームの一員として古巣に戻ってきた渡辺剛は、白地に赤いその旗をピッチの上から目に焼き付けていた。 立ち上がりから3位ヘントが最下位コルトレイクを圧倒し、70%を超すポゼッション率で試合をコントロールした。3バック陣のDFリーダー、渡辺は攻守に安定したパフォーマンスを披露。29分に訪れた数的不利のピンチはスライディングタックルで防ぎ、37分に相手のCFに揺さぶられた場面ではしっかりリカバリーして、最後は完璧なタイミングでシュートをブロックした。終盤、チームメイトのバックパスのミスから相手CFと並走したシーンでは、スピードを活かして競り勝ったうえ、落ち着いてボールを処理して味方につなげた。 「やっぱりこっち(ベルギー)では頭を使ってやらないと。例えば、今日のバックパスがずれてやられそうなところとかも、 常に何が起きるかって予測しながら準備して対応するようにしている。そこがやっぱり日本人というか、自分の強み――というのをベルギーに来て思った。頭を使って効率よく、仲間を使いながらやるっていうところは、日本での自分になかったところかな。それを出せたことで、ベルギーで需要が出てきた。自分の強みが上手くヒットしていることかなと思います」 ヘントが2-0で勝つと、コルトレイクの選手たちが我先にと渡辺のユニホームをねだるかのように集まってくる。古巣のテクニカルスタッフとの談笑もまじえ、ピッチの上に渡辺へのシンパシーとリスペクトを感じる時間がしばし続いた。 コルトレイクの更衣室はゴール裏にある。不甲斐なく負けた地元チームが先にロッカールームに引き上げると、ものすごい罵声がサポーターたちから飛んできた。 次にヘントが更衣室へ戻っていく。かつてコルトレイクを好チームに仕上げたハイン・ファンハーゼブルック監督に熱い拍手が贈られ、嬉しそうに指揮官はロッカーへ消えていく。続いて渡辺が帰ろうとすると、やはりコルトレイクのサポーターが長く、温かな拍手を惜しみなく贈り、渡辺も胸を張って両手を上げて挨拶しながら、しばしそこに留まっていた。そう、今日の私はその姿を見に来たのである。 なにせ渡辺は昨シーズン、ベルギーリーグで唯一全試合フル出場を果たし、コルトレイクの年間最優秀選手に輝いたのだ。そんな彼が今シーズン、ヘントにステップアップし、さらに成長した姿を披露したことをコルトレイクのサポーターたちは我がことのように喜んでくれた。 「試合前からメッセージをたくさんもらっていたんです。コルトレイクのサポーターたちが温かく迎えてくれたので嬉しかった」
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