年収106万円の壁、どういうこと?越えたらどうなる? その先に「最も深刻な壁」も。手取りや将来の安心に直結の「壁」を説明
これにより、将来受け取る基礎年金に上乗せされるのは月額6300円、年間では7万5600円になる。単純計算で10年間受け取ると75万6千円、20年では151万2千円、30年になると226万8千円だ。長生きするほど、年金額の累計は増える。 負担面では、ほかに毎月の健康保険料6300円もある。 自分が社会保険に入るとどのくらい負担が生じるかは、厚生労働省の「社会保険加入による手取りかんたんシミュレーター」で概算の金額が分かる。将来の年金受給額も「公的年金シミュレーター」で試算できる。いずれも厚生労働省がホームページで公表している。 ▽130万円の壁―フリーランスも対象 記者の妻も「壁」を意識して働いている。106万円ではなく、その先にある「130万円の壁」だ。妻は企業から業務を請け負うフリーランス。勤務先の指揮監督下にあるといった「労働者性」が認められないと厚生年金には入れない。この場合、年収130万円を超えると国民年金と国民健康保険に入る。国民年金保険料などの負担は生じるが、将来受け取る年金額は記者の扶養に入っている時と変わらない。
妻は将来、壁を越えて働くことを検討している。保険料負担は気になるし、厚生年金に入れないことに不満もある。それでも、仮に年収を大きく増やせれば、生涯年収の違いはばかにならない。キャリアを積むことが自己実現にもつながる。 政府はフリーランスへの厚生年金適用についても検討を始めている。ただ、中長期的課題で、すぐに結論は出そうにない。立憲民主党は130万円の壁を「最も深刻」と捉え、負担感をなくすために給付制度を設ける法案を衆院に提出した。 国民民主党が火を付けた「壁」の問題。国民の手取りや将来の安心に関わるテーマだけに、議論はさらに過熱しそうだ。