メディア対応嫌い?な大谷翔平が、振り向いて笑い出した「米番記者のひと言」
● 大谷への守秘義務を意識しつつも フレンドリーな一平のバランス感覚 トモヤ 一平の人柄を示すようなエピソードを教えてくれる? サム 大谷の周囲の人の中でも僕らの仕事を理解してくれている方だと思う。面白くていい人。彼との会話は、僕はいつもオフレコだと考えているので、話した内容は明かさないけど、とてもフレンドリー。記者に情報を漏らしてはいけないという自分の責任を認識していると思う。少なくとも僕には情報を漏らすようなことはない。他の記者に対してどうかは知らないけど。 自分は大谷のためにここにいるんだと一平は理解している。「あれはどういうこと?」と些細なことを彼に尋ねても「それについては話せない」って言うんだ。でも、それ以外はとても気さくで、一緒にいて楽しい人だよ。 大谷の人気が上がるにつれて、彼も人気者になった。でも、自分がスポットライトを浴びることは望んでいないような気がする。それも彼の人気を高めていると思う。ちょっと照れ屋なところがファンにウケている。 思い出に残っていることを一つ挙げるね。僕は22年のアメリカンリーグMVPに投票する記者の一人だったんだけど、オークランドでの最終戦の後に、一平が僕に「誰に投票するの?」と聞いてきた。「大谷に入れないとボコボコにするぞ」みたいなふりをして聞いてきたんだけど、僕は「教えられない」と答えたよ。可笑しかった。彼にそう言われたから大谷に投票したわけじゃないよ。まあ僕をボコボコにするのは簡単だと思うけど(笑)。
● 大谷は自分の言葉で インタビューに答えるべきか トモヤ ESPNコメンテーターのスティーブン・A・スミスが、大谷が通訳を使っている限り野球界の「顔」にはなれないと発言して、アジア人コミュニティーから人種差別であるとの批判を受けた。 サム そもそも、大谷が野球の「顔」になるためにメディアと話す必要なんてないことを理解した方がいい。英語を話す必要はないし、アメリカ文化を受け入れる必要もない。彼は好んで受け入れているみたいだけど。 大谷が野球界の「顔」となれたのは、フィールドでの活躍や立ち居振る舞い、チームメイトとの接し方、そういったことが理由だよ。 トモヤ 大谷が実際どのくらい英語を話せるのかは多くの日本人が気になっているところ。 サム 彼が英語を話すのを聞いたことはある。CMや23年のオールスター戦の前なんかにも話していた。英語を話す人たちと一緒にいる時は英語を話している。 トモヤ 現実問題として、大谷が公の場でもっと英語を話せば人気は上がると思う? ディラン そうは思わないね。(思った通りに表現できない)英語で話すと、実際の人柄と違う印象を与えてしまう可能性すらある。大谷は本当に頭の良い選手。英語で話すと、大谷のイタズラ好きで、ユーモアがあるところなんかは伝わると思う。伝わらないのは、大谷の頭の良さだと思う。 トモヤ 僕の印象だと、大谷のメディアへの返答は簡素で説明が少なくて、主語も曖昧だったりするから、「今のはどっちの意味だったんだろう?」と迷うことがある。それを通訳の一平が英語訳で主語や文脈を補ってくれて助かることがある。彼は大谷と常に一緒にいて、背景とか事情を知っているだろうから。 大谷は、日本語で記者に話す時は、きっちりと真面目な印象だけど、一平の英語はカジュアルな雰囲気。気さくな南カリフォルニアっぽいっていうか。だから現地の人には、大谷がよりフレンドリーに映るんじゃないかと思う。ディランが言ったように、通訳によって、現地の人が選手に持つ印象が変わるのは面白いよね。
サム・ブラム/ディラン・ヘルナンデス/志村朋哉