愛知県知事リコール問題で田中事務局長が会見 内容に河村氏は強く反発
愛知県の大村秀章知事に対するリコール(解職請求)運動を進めてきた団体事務局の田中孝博事務局長が21日、愛知県庁内で、署名偽造事件への事務局の関与をめぐる最近の報道について見解を述べるとして記者会見した。 その中で田中氏は、昨年の署名活動中に、名古屋市の河村たかし市長から「約10年前の市議会リコールでも多数の不正、無効署名があった」と聞いたと説明。そのために今回の知事リコールでも、「事務局に届いたものは、無効署名と思われるものも含め白紙以外の全ての署名簿を選管に提出した」などと述べた。 この田中氏の発言に対し、25日投開票の名古屋市長選に立候補し、選挙運動期間中の河村氏は強く反発。「田中氏に、市議会リコールでは結果として無効署名が紛れ込んでいた、と話したことはあるが、『不正署名』があったとは言っていない。今回の偽造署名問題とは質的にまったく異なる」と指摘。田中氏の発言について「名誉毀損や偽計業務妨害(選挙妨害)の恐れがある」という自身の見解を、報道陣のぶら下がり取材時やツイッターなどで表明した。
田中氏自身は不正関与に答えず
田中氏は、会見中に述べた「不正署名」について「(河村氏の)言葉としてはそうだったと思う」とした上で、「本来であれば無効署名(と選管から判断されるもの)で、その中の同一筆跡のもの」だと説明。そのような署名であっても約10年前の市議会リコール時は選管に提出したと河村氏から聞いたため、今回の知事リコールで同じようなものがあっても提出したという。ただ、住所や生年月日がなく、氏名だけしか書かれていないような不備の署名簿は今回、事務局に届く前に処分したとも述べた。 会見では他に、副事務局長だった前常滑市議らが、田中氏から昨年10月下旬に呼び出されて「不正の指示を受けた」などと証言している、との報道に対して、「(前常滑市議とは)毎日、リコール運動で行動をともにしていたため、この期日にあらためて呼び出して指示などはしていない」と反論。一方、田中氏自身の不正への関与については「弁護士から答えないように言われている」とし、名古屋市長選終盤のこの時期に会見を開いた意味についても明言を避けた。 田中氏が記者会見で話した内容を後ほど知った河村氏は、「名古屋市長選の真っただ中のこの時期、自らの事件関与にかかわる事実関係について一切をノーコメントとした上での、内容が乏しく、かつ私の政治活動に誤解を与えかねない記者会見を開いたことは誠に遺憾」とするコメントを発表。22日も取材に対して「会見で言っていたことが本当だったら明らかに犯罪行為になる。市議会リコールのときは同一筆跡より(署名集めの)受任者名の空欄が(署名簿全体が無効となってしまうため、影響が)大きかった。選挙やってるときに根拠のないことを言いたい放題言っちゃいかんでしょう」などと述べた。 (関口威人/nameken)