リコール不正署名問題は「民主主義の根幹揺るがす」 愛知・大村知事
愛知県の大村秀章知事は1日、県庁で臨時記者会見を開いた。自身に対する解職請求(リコール)運動で不正を疑われる署名が8割超に上っていたとの県選挙管理委員会の発表を受け、「驚くべきこと。民主主義に対する重大な脅威、民主主義の根幹を揺るがす由々しき事態だ」と指摘。さらに徹底した事実関係の解明などを求めた。 リコール不正署名問題 愛知・大村知事「民主主義の根幹揺るがす」 臨時会見(2021年2月1日)
不正署名は全体の8割以上の約36万筆
大村知事に対するリコール運動は、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が代表となって昨年8月から展開された。2カ月余りで約43万人分の署名を集めたとして県内64の市区町村選管に提出したが、リコールに必要な法定数の半数にとどまっていた。 通常は法定数に達しなければ選管が有効・無効の審査はしないが、今回は同一筆跡や同意していない人の署名が多数あるとの疑いが指摘されたため、県選管が任意の調査を実施。1日に取りまとめ状況を発表した。 それによると、調査した43万5344筆のうち、有効と認められない署名は全体の83.2%に及ぶ36万2187筆。そのうち「同一人により書かれたと疑われる署名」が約90%、「選挙人名簿に登録されていない者の署名」が約48%、「選挙人名簿に登録されていない受任者により収集された署名」が約24%あったという。市町村ごとの不正署名の割合も、名古屋市で83.1%、豊田市で90.38%、高浜市で93.24%と、軒並み高い水準だった。
リコール運動応援の河村市長は自身を「被害者」
大村知事は会見で「偶然の一致とは思えない。誰が何のためにこんなことをしたのか明らかにしてもらいたい」と語気を強めた。今後、違法行為として関係者を告発する可能性を含めた選管の判断を見守るという。 一方、運動の「応援団」として署名集めを呼び掛けていた名古屋市の河村たかし市長は、午前中の記者会見でこの問題について「とんでもない話で、許しがたい。組織的に誰かが関与したのでは」とした上で、自身を「被害者」だとする認識を示した。
国の緊急事態宣言は「延長やむなし」
大村知事の会見ではこのほか、新型コロナウイルスの新規感染者が80人(再感染者1人含む)と、1週間ぶりに100人を下回ったことなどが報告された。しかし、入院患者数など医療提供体制が引き続き厳しい状況であり、国の緊急事態宣言について「延長はやむなし」との考えを西村康稔担当大臣に伝える意向を示した。 (関口威人/nameken)