世界中で大ヒット「ゲルカヤノ」の生みの親・アシックス榧野さんってどんな人?
WWD:アシックスは過去10年で売上高が2倍近く成長し、海外売上高が8割以上というグローバル企業になりました。会社はどう変わりましたか。
榧野:だいぶ変わりました。もともとはコンサバな体育会系の社風でした。カルチャー好きな僕は異端だった。周りからは好き勝手やっているように見えたことでしょう。でも結果を残すために相当のエネルギーを費やしてきました。さいわい担当した商品で売り上げを伸ばしたから、自由が確保できた。シューズ作りはチームワークが大切だけど、デザインの出発点は個人のインスピレーションであるべきです。僕は表現できるのが本当に楽しかった。いま社内の後進育成も行っています。今の若いデザイナーは真面目で優秀ですよ。好きなことをとことん突き詰めてほしいな。
来年3月で定年退職の予定です。その先は決めていません。ただ、やりたいことはあります。芸大や美大でスポーツシューズのデザインを教えることです。ときどき講師として招かれることもありますが、可能性に満ちあふれた学生さんと話すのは本当に楽しい。自分の経験を伝えていけたら幸せです。