このままでは日本の医療は崩壊する…「直美」急増の先に待ち受ける「最悪の結末」
直美の医師を見抜く方法
もし美容外科にかかる場合でも、実は担当医師が直美かどうか見抜く方法がある。現在、日本専門医機構は内科や精神科、小児科など19の基本領域について専門医を認定しており、美容外科と隣接する外科や形成外科、皮膚科もそこに含まれる。 専門医の資格を取るには専門のプログラムがある病院で3~5年の研修を受ける必要があるため、所持している医師は保険診療で経験を積んでから転職してきた可能性が非常に高い。 さらに武田氏はこの専門医制度を拡充させることが、ひいては「直美対策」につながるのではないかと指摘する。 「基本領域の専門医は広告が可能で、外部に向けて『私は○○の専門医である』と表示していいことになっています。実は美容外科にも専門医制度はあるのですが、まだ広告可能にはなっていません。 もし可能になれば、しっかりと臨床経験を積んだ美容外科医は自らが専門医であることを積極的に発信していくはず。直美の医師とも見分けやすくなるはずです」
医療制度が根本から崩壊する
しかし制度が整備されるのを待っている間にも、直美はどんどん増え続けていく。このままでは日本の医療そのものに深刻な危機が訪れてもおかしくはない。 「美容医療や美容外科クリニックを否定したいわけではありません。美しくなりたい、若返りたいという人間の気持ちは自然なものですし、それに医療が貢献できるのはすばらしいことです。 ただそれは充実した保険診療があったうえでのこと。不安を抱えることなく美容外科クリニックにかかる人が多いのも、これまでの医師たちが築いてきた『日本の医療機関は安心安全だ』という信頼があるからです。そこにただ乗りし、そもそもの土台をないがしろにしていては本末転倒でしょう。 国公立大学はもちろん、私立であっても医学部には国からの補助金が入っています。だからこそ卒業して医師になったら保険診療の分野を経験して、ある程度は国民の健康と福祉に還元する義務があると言えるでしょう。 このままラクな仕事と高い給料に引き寄せられる医学生が増えていけば、そのうち日本の医療が根本から崩れてしまうかもしれません」 国民皆保険をベースにし「世界一」とも言われた日本の医療制度が今、土台から揺らいでいる。 ……・・ 特集『最高の病院 危ない病院』【最初から読む】歴代首相の「かかりつけ医」が本誌だけに語った…!「ほんとうにいい医者」の条件と、大人なら半年に1度は検査すべき「ヤバい病気」の名前 「週刊現代」2024年11月30日号より
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