「子ども嫌い」な教師はダメ?完璧を求めすぎ?教育者のあるべき姿を当事者の元教師芸人と考える
■子ども苦手な教師が行なった向き合い方
岡田氏は教師時代に、自身の向き合い下手を「授業の質」で補い、信頼を獲得。子どもを「子ども」と思わず、「1人の人間」として接した。子どもとの複雑なコミュニケーションでは他の先生を頼ったという。 「一個の結論として、1対1で子どもと向きあうことは苦手。会話して、相手の気持ちを推し量るのは得意ではない。じゃあ教師として何をしたらいいか考えた時に、1対30の授業をどう成功させるかに特化しようと。例えば、この子の活躍の場を授業の中で与えるという関わり方をした」
モデル、ラジオナビゲーターの長谷川ミラ氏は「苦手意識を克服して、プラスにしたことがすごい」と絶賛し、海外での教育を引き合いに「先生の専門は多くの人に平等に教えることが仕事であって、向き合うことが仕事ではない。向き合うのはホームルームの先生など、分業がされている。教えることが仕事なのか、メンタルケアが仕事なのか、日本の教育は一緒になってしまっているからストレスが多くなっていると思う」との見方を示した。
36年の教師生活を経て、現在は教師のメンタルカウンセラーの吉田純一氏は「1対30の授業が得意なのは教師としての大きな部分を担える力を持っているが、教師はそれ以外に子どもの可能性や、やる気を引き出したりする、そういう寄り添い方も教師の役割として大事だ。だから日本の教師はいろんな役割を一気に担っている故に、大きな負担がある。ただ、それをうまく分散することによって教師がお互いに協力し合える可能性はある」と述べた。
■教師の求められる像
しかし、岡田氏は教師時代、完璧さを求められることが多かったという。一年目から付き添いの上司無しで、最初から担任を任され、一人前の仕事を求められる。また、体調不良を訴える事もままならなく、体調管理は当たり前という空気がある。こうした理由で心が折れて離職した同僚もいた。 岡田氏は「大学生の時に感じた子どもが苦手と、教師になってからの子どもが苦手は違っている。教師になってからは後ろに親が見える。保護者が苦手よりも子ども30人だけど90人に相対しているみたいな気もしていた」と述べた。 時代によって教師の求められる像は変わってきているのか。吉田氏は「私たちが教師になったころは、先生を敬う度合いが強かったが、今は対等な関係という感じがする。ただ、かつては私も親から敬っていただいたが、逆に若くてできなかったことに対しても親の方も“先生若いからね。頑張りなよ”と支援してくれる関係にあった。今は対等であると同時に相互尊重の関係だ。どちらが上ではなくて、今は先生の立場も親の立場も尊重し合う時代になってきた」と答える。 さらに、子どもが苦手だという先生に向けて「子どもと触れ合う中で、何かのチャンスにギュッと距離が縮まることもあるかもしれない。人間関係はそういうものだと思う。決めつける必要はなく自分がやれることをしっかりやっていく中で、そういう関係もうまくいけば作られていく可能性もあるのではないか」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)