「正社員が不足」過去最高の56% 神奈川の企業、非正社員の不足感は緩和 帝国DB調査
仕事はあるが、人手不足で受けきれない-。正社員の不足を感じる神奈川県内の企業の割合が約56%と過去最高水準を更新したことが、帝国データバンク横浜支店の調査でわかった。一方、非正社員については不足感が緩和に転じており、人材確保をめぐる企業マインドの変化も浮き彫りとなった。 【ランキング】2026年卒の就職人気企業トップ10 同支店調査部の伊藤浩隆氏は「採用コストを非正社員でなく正社員にかけ、獲得した人材を安定した待遇で囲い込もうとする動き」と分析。国の「103万円の壁」見直しもあり、非正社員の不足感はさらに緩和が進むとみられる。 調査は10月に行い、565社が回答。「正社員が不足している」企業の割合は前年同月より2・4ポイント高い55・7%となり、調査を始めた平成18年以来の過去最高を更新した。直近では平成30年(54・9%)が最高だった。 業界別で正社員の不足感が最も強いのは金融(83・3%)で、前年同月比8・3ポイント上昇。また、時間外労働の規制が厳格化された建設(69・4%、3・4ポイント上昇)、運輸・倉庫(62・5%、8・0ポイント上昇)も高水準だ。 一方、「非正社員が不足している」割合は前年同月より3・3ポイント低い29・5%で、4年ぶりに緩和へ転じている。不足感が強まった業種は小売(40・6%、4・2ポイント上昇)のみで、その他8業種は緩和か横ばいとなった。 帝国データの調査では、人手不足による倒産は今年1~10月に全国287件。通年で過去最多だった昨年の260件を超えている。伊藤氏は「このうち約8割が10人未満の事業者だ。今後も、大手などの賃上げペースに追いつけない小規模事業者の人手不足倒産の深刻化が想定される」と指摘する。