世界で愛されるクリスマスクッキー、推しのお店からクリスマスに欠かせなくなった歴史まで
レシピと作り方
ナッツと数種のスパイスがジンジャーブレッドのレシピには欠かせないが、地域ごとに多くのバリエーションがある。それはやわらかくてもちっとしたドイツのレープクーヘン、薄くてさくっとしたジンジャースナップから、ジンジャーブレッドの家、ジンジャーブレッドマンに至るまでさまざまだ。重要な材料はほかに、蜂蜜、オレンジの皮、そしてレープクーヘンの場合はマジパン(アーモンドペーストと砂糖、卵白)だ。 ウエハースジンジャーブレッドは、ナッツの味の強いもちっとした昔ながらのレープクーヘンだ。クッキーとケーキの中間のようなものであり、オブラーテンと呼ばれる小さく薄いウエハースに乗せて焼かれる。 ニュルンベルクのレープクーヘン、もしくはエリーゼンレープクーヘンは、なかでも最高の一品だ。「ニュルンベルクのエリーゼンレープクーヘンは、ジンジャーブレッドのシャンパンのようなものだと思います」。レディッシュ氏はそう語る。 このウエハースジンジャーブレッドは、主に粉状にしたアーモンドとヘーゼルナッツで作られる。小麦粉は使ったとしても少量で、表面には薄いアイシングかチョコレートソースがかかっている。 スノーボールクッキー、もしくはウエディングクッキーは、主にバター、小麦粉、砕いたナッツ、そして大量の粉糖でできている。食感はやわらかく、ほろほろと崩れ、口の中で溶けていく。
クリスマスクッキーを試すなら
1. レープクーヘンシュミット(ドイツ、ニュルンベルク) もっとも有名なジンジャーブレッドベーカリーのひとつ、レープクーヘンシュミットは、100年近くにわたって厳しいレシピの規定と、地元のレープクーヘン職人ギルドの伝統を守り続けている。500年続くニュルンベルクのクリストキンドルマルクト(クリスマスマーケット)で食べるのがドイツのクリスマスならではだが、レープクーヘンシュミットは一年中、世界中に配送している。 2. マグノリアベーカリー(米国、ニューヨーク) 国際都市ニューヨークは、スノーボールクッキーのような世界的な祝祭のお菓子を探すのにはもってこいだ。マグノリアはニューヨークでもっとも有名なベーカリーのひとつで、街中に支店が存在する。バナナプディングやカップケーキのような、昔ながらの米国のデザートがよく知られているが、型抜きシュガークッキーやジャムのせクッキー、ひび割れチョコクッキーやパイといった季節に合わせたメニューもある。 3. インドラーク(オーストリア、リンツ) リンツクッキー、リンツァーアウゲン(「リンツの目」という意味)は、オーストリアの象徴的なクリスマスクッキーで、17世紀のリンツが発祥。ジャムの入った格子模様のパイ、リンツパイの小さい版とも言えるクッキーで、アーモンドプードルを使った2枚のショートブレッドを重ねてできている。上側の1枚は丸形や星形、ハート型に切り抜かれていて、間にはジャムが挟まり、上には粉糖がかかる。リンツに古くからあるベーカリーのインドラークは、100年近くの間これを作り続けている。 *この記事は『ナショナル ジオグラフィック トラベラー(UK)』により制作されました。
文=Marci Vaughn Kolt/訳=米田想森郎