歴代首相の「かかりつけ医」が本誌だけに語った…!「ほんとうにいい医者」の条件と、大人なら半年に1度は検査すべき「ヤバい病気」の名前
東京・西新宿、高層ビルの林立する副都心の真ん中で、40年以上も続く小さな「診療所」。ネットで調べても口コミは見当たらないが、そこには数多くの政財界や芸能界、スポーツ界の大物がひっそりと通う――。 【一覧】名医20人が自分で買って飲んでいる「市販薬」実名リストを公開! その「水町クリニック」を統括する総院長が、内科医の水町重範氏(78歳)だ。岸信介、鈴木善幸、中曽根康弘各首相の主治医・随行医を務め、今も多くの著名人たちの「かかりつけ医」を担う。 水町氏の哲学は「生きた医療を届ける」。クリニックでは氏自ら患者の健康状態をきめ細かくモニターするほか、慶應義塾大学病院や東京医科大学病院をはじめ、有数の病院に籍をおく名医が外来担当を務める。 その一人で、東京医科大学呼吸器外科・甲状腺外科主任教授、日本外科学会前理事長の池田徳彦氏(64歳)と、「日本最高峰の医療のあり方」「よい医者とは、よい医療とはなにか」を語りつくした。
オーダーメイドの急患対応
水町今朝は4時半に患者さんから電話がかかってきて、目が覚めました。出ると、「血を吐いた」とおっしゃる。その人はお酒が好きで、以前から肝臓が悪く、肝硬変のおそれもあるということが、私の頭の中にはインプットされています。だから、真っ先に食道静脈瘤の破裂を疑いました。 池田それは大変だ。大丈夫だったんですか。 水町大急ぎで、優秀な消化器系の先生がいて、すぐ対応してもらえそうないくつかの大病院に電話しました。「今日の当直は誰?」「いまいるのは、どのレベルの先生?」と確認し、安心できる受け入れ先を見つけ、救急車で向かってもらいました。 池田水町先生は「オーダーメイド医療」を実践されている数少ない医師ですが、それを象徴するようなエピソードですね。 水町毎日、こんなことばかりですよ(笑)。ついさっき、昼すぎに報告があって、「幸い食道静脈瘤破裂ではなく、鼻にできた血腫からの出血でした」ということで、ことなきを得ましたけれどね。
「行きたくても行けない病院」の医療とは?
池田水町クリニックは、メディアで「行きたくても行けない病院」と紹介されることもありますね。 水町たしかにうちは会員制ですし、著名人といわれる方も多数通っていますが、門戸を閉ざしているわけではなくて、どなたでも診察しています。 うちと他の病院との一番の違いは、普段から患者さんとしっかり話をすること。そう言うと拍子抜けするかもしれませんが、特別なことをしているわけではないんです。 でも患者さんは、医者に対して言いたいことをすべては言えません。言外の悩みや不安までちゃんと汲みとることが、的確な診療の第一歩になると考えています。 池田私は外科医ですが、がんが専門ということもあり、患者さんとのコミュニケーションにはいまだに悩みます。病気や手術の話は患者さんにとっては「嫌な話」ですから、丁寧にしすぎるくらいでちょうどいい。 水町その通りです。うちで診ている患者さんは、1日に100人もいません。月に1・2回は必ずすべての患者さんと顔を合わせて、「お変わりありませんか」と言葉を交わす。日に何千人も診ている大病院では、こうはいきません。ただ聴診器を当てたり、採血したり、クスリを出したりすることが医療の本質ではありません。医者と患者の「掛け合い」が大切なんです。