歴代首相の「かかりつけ医」が本誌だけに語った…!「ほんとうにいい医者」の条件と、大人なら半年に1度は検査すべき「ヤバい病気」の名前
その人の全体を診る
池田がん専門医として実感するのが、最近は、がんは早期発見できれば、本当に最小限の治療で治せるようになってきているということです。 たとえば肺がんは、昔は胸部X線検査で発見されていたわけですが、今はCTが普及し、より小さな段階で見つけられるようになった。肺も大きく切除していたけれど、最近では早期がんはなるべく小さい範囲を切除するのが普通になっています。でも早期発見のためには、日頃から小さな異変を見逃さないようにしなければなりません。 水町そのために私が特に力を入れているのが、検査手法を常にアップデートすることです。 肺は必ずCTを撮る。胃腸はバリウムを飲む造影検査だけではなく、なるべく内視鏡検査を受けてもらう。膵臓がんのリスクが高い患者さんには、半年に1回は超音波内視鏡検査(EUS)を受けてもらいます。膵臓がんは、あっという間に進行しますから。もちろん、どの検査も私が信頼する、超一流の医師が担当してくれます。 池田最近では肺がんの生存率は飛躍的によくなっていますが、それは手術、抗がん剤による化学療法、さらに分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬といった新しい治療法と、さまざまな治療があり、よく効くから。他にも乳がんや前立腺がんも、かなり治るようになってきています。 しかし膵臓がんは、抗がん剤や新しい治療薬の効果が限定的と聞きます。進行する前に手術しないと打つ手がなくなってしまうんです。ですから、「半年に1回検査する」と聞くと「多いな」と思うかもしれませんが、それくらい用心してちょうどいいと思います。 水町うちの膵臓がん検査は、3ヵ月先まで予約でいっぱいです。最近は森永卓郎さんなどの著名人が膵臓がんを公表することが増え、心配する患者さんが増えているのだと思いますが、コンスタントに検査を受け続けることが大切です。 後編記事【政財界・芸能界の大物が通う「小さな診療所」の医療哲学とは…院長が明かした「いい医者、いい病院の見分け方」】へ続く。 みずまち・しげのり/'46年岐阜県生まれ。日本医科大学卒業後、慶應義塾大学病院内科を経て、'82年に新宿第一生命ビル内に水町クリニックを開設し、会員制の予防・治療医学を提供する。医師として首相の外遊随行23回の歴代最高記録をもつ いけだ・のりひこ/'60年東京都生まれ。東京医科大学卒業後、同外科、国際医療福祉大学三田病院呼吸器外科教授などを経て現職。今年4月まで日本外科学会の第5代理事長を務めたほか、国際肺癌学会理事、世界気管支学会理事なども歴任する 「週刊現代」2024年11月30日号より
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