高校野球レゲエ校歌で話題の和歌山県南陵高校。全校生徒18人、毎月の赤字1500万円、“悪行三昧”の前経営陣一掃…再建に向けて「一歩前へ」
野球部員に「ピアスをしてもいいんだぞ」
南陵高校はクラウドファンディングも実施して、資金を集めている。校舎は今まで整備などをまったくしていなかったので老朽化が進んで損傷が激しい。 寮は雨漏りして、お風呂場はボロボロ。「贅沢な環境にしたいわけではない。ただ、普通の環境にしてあげたいだけなんです」と、甲斐さんは語る。 そして今、南陵高校は新しい校歌の歌詞のように、 “一歩ずつ”再建に向かって前へ進んでいる。 「今回の校歌が南陵高校にとって、少しでも明るい話題になってほしいと思っています。SNSで話題になったのは本当に嬉しいですね。また生徒の募集再開ができるようになったとき、子どもたちが『南陵っておもしろそう!』って思ってもらうきっかけになればと。 曲は、もともとあった楽曲を南陵高校バージョンに再構築してもらい、歌詞は、南陵のイメージなどを横川さんらに伝えながら書いていってもらいました」 南陵高校は、生徒の自主性を重んじ、答えを教えてもらうのではなく、答えを作る力を養うことを目標にしている。そのため、厳しい校則のようなものはほとんどない。 「自主性を与えることよって、子どもたちはちゃんとした答えを出せると思っています。私が野球部に赴任したとき、部員たちに『髪を伸ばしてもいいぞ』と言ったら、自分たちから『坊主でいいです』と言ってきたんです。 『ピアスだってしていいんだぞ』と言っても、『いや、それをやったら人間として軽く見えるんで』と……。校則とかではなく、子どもたちが全部自主的にやっているんです。この子らはすごいなって思いますよ」 甲斐さんは今後、南陵高校を開かれた学校にし、閉鎖的になっている昨今の学校の風潮を、まとめて改革していきたいと明かす。 「学校はマスメディアにも積極的にきてもらって、『ここをこうした方がいい』と言われるべきなんですよ。地域の人も集まるのが学校です。 これは、教育業界への革命でもあると思っています。だから、あえて校歌もこのように変更したのです」 SNSで校歌が話題になったために、今こうして、南陵高校に大きな注目が集まっている。再建に向けたスタートはひとまず、大成功と言えそうだ。来年、募集再開となり、多くの生徒でまた校舎が賑わうことを期待したい。 取材・文/集英社オンライン編集部
集英社オンライン編集部
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