高校野球レゲエ校歌で話題の和歌山県南陵高校。全校生徒18人、毎月の赤字1500万円、“悪行三昧”の前経営陣一掃…再建に向けて「一歩前へ」
全校生徒はわずか18人 南陵高校を襲った悲劇
新しい校歌はいわば、新体制となった南陵高校を示す象徴でもある。校歌が変更と聞くと、一般的にはOBなどから反発を受けそうなもの。 しかしこうした事情もあり、「前経営陣の跡形もなくしてほしいというのがみなさんの望みでした」と、変更にはみんなが大賛成だったようだ。 とはいえ、現在、南陵高校の全校生徒は3年生の18人のみ。前経営陣らの悪行によって県から経営改善の措置命令を受けて、生徒の募集を停止しているのだ。 最初は学年に90人ほどいたが、どんどん転校していってしまい、この18人だけが残ったという。 「野球部が10人、バスケ部が6人、吹奏楽部が2人の18人です。それでもバスケ部は県大会でベスト4になり、インターハイ出場。野球部は今年、和歌山県大会で選手宣誓をしています。 この宣誓の言葉は、彼らの辛かった気持ちも入っているように感じられて、私はそれを聞きながら号泣してしまいました」 もともと、南陵高校はスポーツが盛んな高校であった。甲斐さんも営業部長というかたちで、九州から野球やサッカーなどが上手い生徒をスカウトしていた。 そんな中、学校の経営陣たちのずさんなやり方に意見をしたところ、クビになってしまったという。他の教職員たちと話して、内部告発なども試みたが、これも結局有耶無耶にされて、意見を言う人はどんどん切られてしまった。 元プロ野球選手で現在は指導者としても活躍する岡本哲司さんも南陵高校野球部で指導をしていたが、彼もまた、この大騒動のときに去ることになってしまった。 かつて、スポーツ強豪校として君臨していた南陵高校が、わずか数年で一気に崩壊してしまったのだ。 「前経営陣が去ってからは、OBたちが来てボランティアで学校のことを手伝ってくれていますし、パワハラで辞めてしまった教師たちを呼び戻したりもしています。 岡本さんもまた、戻ってくれる予定になりました。とにかくみんなが、『子どもたちを守りたい』『学校を立て直したい』という思いで、“義”で集まっている状態です。 経営は毎月1500万円の赤字になるほど大変ですが、賛同してくれる仲間や企業がお金を出してくれて、なんとかやっていけています」
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