留学生がスケープゴートに オーストラリア、住宅不足で門戸狭める
日本で3番目の人気国だが…
留学生への教育サービス提供はオーストラリアの重要産業の一つで、統計上の輸出収入としては鉄鉱石などの資源に次いで4番目に多い。大学の連合体「ユニバーシティーズ・オーストラリア」は、留学生の受け入れ制限によってオーストラリア経済に40億オーストラリア・ドル(約4000億円)以上の損失が生じると試算。雇用や社会の多様性が失われることへの懸念も示す。 モナシュ大学のベン・エルサム講師は論文で、「留学生が安易に住宅危機のスケープゴートにされている。彼らに責任はない」と訴える。門戸を狭める政策についても「学生、大学、地域経済、オーストラリアの地位を傷つける」と厳しく批判する。 日本学生支援機構によると、オーストラリア在住の日本人留学生は22年度に6200人。留学先としては米国、カナダの次に多い。ある日本人女性は「英語圏で治安が比較的良いから選んだ」と話す。だが、留学生を「厄介者」扱いする政策が続けば、オーストラリアを敬遠する人は増えるかもしれない。