米欧の金利差拡大へ、トランプ氏のFRBバッシング再燃させる恐れ
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は今年に入ってから約6.3%上昇し、年間で2015年以来の大幅高になる勢いだ。ウォール街の一部には、このことがドルのバリュエーションを高い水準に押し上げ、2025年後半にドル安をもたらす下地になるとの見方もある。
景気減速に直面してFOMCが最終的に利下げに踏み切ったトランプ前政権時とは異なり、根本的な経済シフトの兆候がいくつか見られる。それは、引き締め気味の金融状況が今後も続くことを意味する可能性がある。
米国ではここ数年、生産性の伸びが顕著に回復しているが、欧州を含む他国ではほとんど回復していない。トランプ氏が反転させると表明しているパンデミック後の移民急増も、企業が消費者の需要に追いつくのに役立った。
これらすべてが、エコノミストが中立金利と呼ぶ、政策が需要を圧迫も刺激もしない金利を押し上げたと思われる。米金融政策当局者はこの推定値がこの1年で着実に高まっており、最終的にパンデミック前よりも高い水準で利下げをやめることを意味するかもしれないと述べている。
米経済の好調が金利やドルに関してトランプ氏にとって逆風になるのであれば、米経済の好調とドル高は、少なくとも関税によるインフレショックに耐えるのに寄与するかもしれない。
ケイトー研究所のスコット・リンシカム副所長(経済・貿易担当)は「裏返せば、米経済が強ければ関税による打撃をより許容できるようになり、ドル高が進めば消費者は関税による打撃をより許容できるようになる」と話した。
(更新前の記事で、第7段落のFOMC会合の日付を25日から18日に訂正済みです)
原題:Rate Gap That Triggered Trump’s Fed Bashing Set to Widen Again(抜粋)
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Catarina Saraiva