米欧の金利差拡大へ、トランプ氏のFRBバッシング再燃させる恐れ
(ブルームバーグ): 米経済が驚くほど好調なことから、来年も米国の金利は欧州に比べて高水準にとどまるとの見方が強まっている。
これは良い問題のように聞こえるかもしれないが、輸出拡大を望むトランプ次期米大統領にとっては厄介な話だ。米国とユーロ圏の金利差は拡大が見込まれ、すでにドルの価値を押し上げている。米輸出を押し上げるとの同氏の取り組みが阻まれる恐れがある。
トランプ氏にとっての問題はパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長にも飛び火しかねない。トランプ政権1期目にも同じような金利差があり、それが頻繁にトランプ氏をいら立たせ、FRB議長ら金融当局者を定期的にバッシングする要因となった。トランプ氏がホワイトハウスに返り咲く中、連邦公開市場委員会(FOMC)と他の主要中央銀行との間に再び乖離(かいり)が生じ、同じことが繰り返されるかもしれない。
調査会社LHマイヤー/マネタリー・ポリシー・アナリティクスのエコノミスト、デレク・タン氏は「歩調を合わせないFOMCをトランプ氏が追及しても意外ではない」と指摘。「今回のトランプ政権はより組織化されているため、関税や他国との交渉に対する非常に組織的なアプローチは、恐らくより持続的なドル上昇につながるだろう。金融政策もその一部だ」と述べた。
8年前、第1次トランプ政権発足の直前、FOMCが金利を引き上げた一方、欧州中央銀行(ECB)はゼロ未満に据え置いたため、米欧で金利差が生まれ始めた。トランプ氏は格差の拡大を批判し、FOMCの行動が他の通貨に対してドルを上昇させ、その過程で米国の貿易に打撃を与えたと主張した。
現在、両中銀とも政策緩和を進めているが、ECBが低迷する経済を立て直そうとしている欧州では、より緊急性が増している。米国では、好調な経済成長と堅調な消費者需要を背景に、利下げペースの減速が見込まれつつある。
FOMC当局者は18日に終了する定例会合の後、最新の金利見通しを発表する予定だ。