分散化が重要、その理由をもっと議論しよう──グローバル独占の弊害を考える
独占のコストと解決策
終わりのない独占の世界を避けるためには、3つの選択肢がある。1つ目は、デジタル化とネットワークの前進を止めること。2つ目は、独占企業すべてを徹底的に規制すること。3つ目は、独占企業になれないような分散型システムを開発することだ。 1つ目は真のオプションとはならない。2つ目の選択肢は政治的に悪夢だ。3つ目の選択肢は、イーサリアムと呼ばれている。ビジネス価値にとってのTCP/IPに当たるもので、ライドシェアにおける世界的タクシー企業になってしまうリスクのないデジタル化への道だ。 これは、経済と政策という、より大きな観点からはどのように収まるのだろうか? 商業的な利益最大化を図る独占企業は、「死重損失」を生む。つまり、商業的な利益最大化を図る独占企業は、製品コストとは無関係に、自社の利益を最大にする水準に製品の価格を設定するということだ。その価格とは当然、競争的市場よりも高いものとなり、製品の消費はより少なくなる。 顧客から独占主義者に富が移譲されるだけの話でもない。もちろん独占企業はより多くの儲けを得るが、生産と消費は全体として少なくなるため、経済全体としてもより小さくなる。 これらは、どれほどの金額になるだろう? ニューヨーク大学の金融学教授トーマス・フィリッポン(Thomas Philippon)氏の推計によれば、独占企業はアメリカの平均的世帯に対して、1年間で3600ドル(約50万円、1ドル140円換算)の犠牲を支払わせている。これはアメリカの生産高の約5%に当たる。米経済全体で見れば、1兆ドル近いコストになる。世界がますますデジタル化するにつれ、その数字は大きくなるばかりだろう。 |翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:Shutterstock|原文:Decentralization Is the Point, and We’re Not Talking Enough About Why
CoinDesk Japan 編集部