分散化が重要、その理由をもっと議論しよう──グローバル独占の弊害を考える
独占の弊害
デジタルインテグレーションとマーケットプレース開発の初期には、買い手にも売り手にも大きな価値が生まれるが、段々と上手くいかなくなってくる。どこかの時点で新興独占企業は、価値あるエコシステムの開発者というより、搾取的な独占主義者のように振る舞い始める。価格や手数料が上がり始め、企業はデータマイニングとマーケットプレース搾取の終わりのないサイクルを始める。 乗車料金の高さや、時々出会う不誠実な運転手について文句を言いたい訳ではない。ミクロとマクロの両方のレベルで、学術的な証拠が集まっている。市場を支配する大手小売業者が、第三者の売り上げからますます大きな分け前を受け取るようになっている。ライドシェア企業はここ数年、市場が集約するに伴って、料金と取り分を大幅に増やしている。 マクロレベルでは、テクノロジーが牽引する企業の収益と業界の集約化が、1920年代のギルド独占時代以来の最高水準となっている。現在は中央集権型独占企業のグローバル黄金時代であり、そうした企業の多くをテクノロジーが支えている。 ネットワークが可能にするテクノロジーのすべてが、搾取的な独占を生むわけではない。分散型ネットワークは、搾取的にならずに独占的になる素晴らしい実績を残している。 インターネットがその典型例だ。私たちのインターネットコミュニケーションのすべてを支える中核的テクノロジーであるTCP/IPは無料で利用でき、許可も不要。インターネットの利用は世界の大半において、極めて安価になっている。Eメールも分散型プロトコルだ。これらのネットワークの中心には、株主にとって価値を最大化する義務を負った企業が存在しないため、独占とはならない。 驚異的に安定していて、コストが極めて安価で、何十年も問題なく運用されている、ほぼ即時のコミュニケーション向けグローバルネットワークがある一方で、なぜシェアライドの料金の30%をソフトウェア企業に支払わなければならないのだろうか? インターネットは全体として、ライドシェアよりはるかにシンプルだ。真の違いは、一方は中央集権型の少数の企業が運用していて、他方は分散型のオープンネットワークという点のみだ。資本主義や自由市場に抵抗する話ではなく、独占や独占企業が人類の繁栄に及ぼすダメージについての話だ。