勝利を支えた仲間との“固い絆” 愛媛の地域クラブが全中ソフトボールで初出場・初優勝の快挙「必ずやる。必ずできる」
国が学校の部活動を地域へ移行させる流れの中、2023年度から学校以外の「地域クラブ」が全国中学校体育大会“全中”に出場できるよう参加資格を緩和した。 その全中に出場した「愛媛ジュニアソフトボールクラブ」が初出場・初優勝の快挙を達成。勝利を支えたのは仲間との固い絆だった。 【画像】全国制覇の次は2連覇を目指す「愛媛ジュニアソフトボールクラブ」
競技を続けたい中学生の“受け皿”に
取材に訪れたこの日、「僕たちは愛媛ジュニアソフトボールクラブです!」「いくぞ!」と、グラウンドに中学生の元気な声が響いた。 愛媛ジュニアソフトボールクラブは、競技を続けたい中学生の受け皿として2021年に発足。現在は、愛媛県の東部と松山市周辺の生徒18人が週末を利用して活動している。 令和3年度(2021年度)に愛媛県ソフトボール協会に登録しているチーム数は、小学生男子68チーム、小学生女子4チーム。しかし中学になるとわずかに2チームに。受け皿不足は深刻だ。 愛媛ジュニアソフトボールクラブ・脇長忠明代表は、「小学生はチームが70チームぐらいあるんですけど、中学の受け皿がない。愛媛県全域で受け皿になりたいという思いで、愛媛ジュニアと名付けたいきさつがあります」と語る。 国が学校の部活動を地域へ移行させる流れの中、2023年から地域クラブも“全中”、全国中学校体育大会に参加できるようになった。 この大舞台に挑戦して2年目の2024年、予選を突破し念願の初出場を果たした。 藤崎羚夢キャプテン(道後中3年)は、「去年は全国予選で負けてしまったので、その悔しさもあったし、今まで支えてくださった方々に恩返しするという思いで全国制覇したいと思っていました」と語った。
仲間との絆でつかんだ全国制覇
ブロック予選を勝ち抜いた16チームが出場した全国大会で、愛媛ジュニアクラブは圧倒的な強さを見せた。 初戦から準決勝までの3試合、すべてコールド勝ち。決勝戦も6対1で勝利し、見事、初出場で初優勝の快挙を達成した。 藤崎キャプテンは「初戦は相当緊張したんですけど、最後の最後だったし、仲間とプレーできて本当に楽しかったです」と喜びを語った。 そして、速球を武器に全4試合に登板したエースの高木凱司投手(久米中3年)は、この大会の最優秀選手に選ばれた。 高木投手は「やりきったという気持ちがあって、達成感がすごかったです」と笑顔で語った。 取材の日、高木選手の自慢の速球をスピードガンで測ると113キロを計測。全国でもトップクラスのスピードだ。 高木投手は、113キロ投げられるコツについて「自分に足りない筋肉をトレーニングして、メンタル鍛えるためにも長い距離を走ったり、足の筋肉を鍛えるために縄跳びやスクワットをして鍛えてきました」と教えてくれた。 勝つための努力を続けてつかんだ全国の頂点。その挑戦を支えたのは、ソフトボールでつながった仲間との固い絆だった。 藤崎キャプテンは「最初は知り合いもいない中で週2という短い練習時間なんですけど、結びつきが強く、友情関係も深くなった」と振り返る。 また、脇長代表も「中学がバラバラで集まって友達の輪が増えるというのが一番いいんかなと思うんです」と話す。
新チームが始動 目標は「大会2連覇」
練習時間に制約がある中で勝利を目指し、チームが徹底したことについて藤崎キャプテンは「しっかりと目標を立ててそれに向かって練習していく。必ずできるまでやるということです」と語った。 全国制覇を成し遂げた3年生は11月で引退し、新チームが次の目標へ向かって動き出している。 新チーム・中田結仁新キャプテンは「先輩たちが全国制覇というすごいことを成し遂げてくれたので、自分たちの代で2連覇して、次の代にしっかりと引き継ぐことが目標です」と意気込みを語った。 絆の強さと濃密な練習で時間の制約を克服した愛媛ジュニアクラブの歴史と伝統を作る挑戦が続く。 (テレビ愛媛)
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